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銀二貫 : ミニ英和和英辞書
銀二貫[ぎんにかん]
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〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。

: [ぎん, しろがね]
 【名詞】 1. (1) silver 2. silver coin 3. silver paint
: [に]
  1. (num) two 
: [かん]
 【名詞】 1. kan (approx. 3. 75 kg) 

銀二貫 : ウィキペディア日本語版
銀二貫[ぎんにかん]

銀二貫』(ぎんにかん)は、髙田郁による日本時代小説。第1回「Osaka Book One Project〔大阪の本屋と問屋が協力し「ほんまに読んでほしい本」を選び、その本の販売で得られた収益の一部を社会福祉施設を通じて、大阪の子供たちに本を寄贈するプロジェクトで、大阪版「本屋大賞」のようなものである。〕」受賞作品。
2014年4月より、NHK総合テレビ木曜時代劇枠にてテレビドラマ化された。
== あらすじ ==
; 第1章:仇討ち買い
: 安永7年(1778年睦月大坂寒天問屋「井川屋」主人和助は、建部玄武が彦坂数馬を仇討ちしようとする場面に遭遇する。数馬は玄武に斬られて瀕死の重傷を負い、10歳になるその子鶴乃輔が玄武から数馬を守ろうとしていた。和助は、前年師走の19日の大火で焼失した天満天神宮への寄進のために都合した2〔金換算すると33。作者の高田は、『みをつくし料理帖』第7巻巻末「みをつくし瓦版」によると、130で料理の値段を決めている。1両=4000文とすると、33両(銀2貫)は396万円。〕を玄武に渡し、代わりに仇討ちを断念させる。数馬は亡くなったが、鶴乃輔は井川屋に寒天を納めている美濃志摩屋で1か月の修行をした後、井川屋の丁稚松吉として新しい人生を送ることとなる。
; 第2章:商人の矜持
: 12歳になった松吉は、取引先の乾物商、山城屋に「井川屋は高級料理屋浮舟にだけ上質の伊豆の寒天を卸し、小商いの自分たちをないがしろにしている」と嫌みを言われる。松吉の弁明を聞いて、山城屋は納得してくれたが、間もなく大店の乾物商松葉屋も、同じ理由で取引停止を通達してくる。井川屋では、山城屋夫婦の協力により、浮舟が産地偽装を行なっていることをつかみ、取引停止を言い渡す。浮舟の主に代わって謝罪する板長の嘉平に、和助は「主人の間違いを諫めるのも奉公人の務めだ」と諭す。井川屋番頭善次郎に真相を聞いた松葉屋も、和助に謝罪し、取引再開を求めてくる。
; 第3章:真帆
: 松吉は15歳になり、井川屋で働くようになって5年たったが、信心深い善次郎は、未だに天満宮に寄進するはずだった銀2貫で松吉が買い取られたことに納得できず、何かにつけて松吉に嫌みをぶつけていた。
: そんな中、松吉は浮舟の元板長で、「真帆屋」という料理屋を開いた嘉平と再会する。その娘で、すっかり松吉を気に入ってままごと遊びなどに誘う真帆は、未だ寒天の味わいや価値を理解できずにいた松吉の悩みを読み取り、嘉平に助力を願った。その意を汲んだ嘉平は、松吉に寒天を使った料理を食べさせて目を開かせてくれる。真帆と嘉平の優しさに触れた松吉は、ぽたぽたと涙を流す。
; 第4章:同月同日の大火
: 井川屋の寒天を使った嘉平の料理「琥珀寒」は、大坂の町で評判となる。しかし、嘉平はなおも新しい料理を模索していた。そして、松吉に「茹でて蒸した里芋を固められるほどの、今の倍の腰のある寒天ができたら、料理の幅が広がる」とつぶやく。
: だが、6年前の大火と同じ師走19日、再び大坂を大火が襲う。そして、嘉平の店は跡形もなく焼けてしまい、嘉平や真帆を始め、他の家族・奉公人の行方も不明となってしまう。善次郎は、前回の大火と同月同日に井川屋の上得意が不幸にあったのは、自分たちが銀2貫を寄進しなかったためであり、ひいては松吉のせいだと言う。善次郎をたしなめた和助だったが、松吉には、善次郎が若い頃に大火で奉公先を失ったことを教え、彼のつらい仕打ちに耐えて欲しいと願う。
: 松吉は連日真帆たちの行方を求めて船越町をさまよい、善次郎もそれに対して何も言わなかったが、やがて焼け跡に新しい家が建ち始めると、松吉はついに捜索をあきらめた。
; 第5章:再会
: 天明6年(1786年)、被災から9年たって、ようやく天満宮の社殿が再建される。師走19日に、4人で天満宮に詣でた井川屋の面々は、頭から手拭いをかぶった真帆に似た少女と、その子を「おてつ」と呼んで、半狂乱になって探し当て、背負って連れ帰った中年女を見かける。
: 天明8年(1788年如月1日、今度は京都を大火が襲う。松吉が美濃志摩屋の安否確認に派遣されるが、七条にあった店は全焼していた。焼け跡で、寒天場で1か月過ごしたときに良くしてくれた半兵衛と出会い、主人一家や奉公人は無事だと聞かされたが、美濃志摩屋の財産はすべて灰になり、寒天場も被災者に踏み荒らされたか、見る影もなかった。そのため、美濃志摩屋の主人はすっかり意気消沈しているという。松吉の報告を受けた和助は、ようやくためた銀1貫を、美濃志摩屋に寄付することにする。
: 仕入れ先を失って、井川屋はしばらく商いを休むことにした。夜見世を冷やかす暇ができた先輩丁稚の梅吉は、母娘でやっている団子屋の屋台が繁盛しているが、その娘の顔の右半分が、やけどで醜く引きつれていたと松吉に語る。
: そんな中、船越町に新しくできた料理屋が、「琥珀寒」と名付けた紛い物を販売し始める。その店を訪れた松吉は、その店の奉公人と手拭いをかぶった若い女がもめているところに出くわした。こんなものは琥珀寒の紛い物だから、代金は払わないと言う娘は、奉公人に殴られて倒れた。その顔は、右半分が火傷で引きつれていたが、左半分は紛れもなく真帆の顔だった。しかし、「嬢(いと)さん〔上方で、商人の娘のこと。〕」と呼びかける松吉に、その娘は人違いだと言い張る。なおも松吉が追いすがると、野次馬が「化け物が男に追われている」とはやし立て、傷ついた娘は松吉に「こんな仕打ち、むごい」と言い残して走り去ってしまう。
; 第6章:約束
: 火傷の娘と別れた翌日、松吉は梅吉に聞いた屋台見世を尋ねる。そして、家に帰る母娘の後をつけ、再び火傷の娘に「嬢さん」と声をかける。すると、お広と呼ばれていた母親が出てきて、娘を「おてつ」と呼び、松吉が真帆だと言うと、取り乱した様子で「お前はおてつだろう?」と娘に何度も尋ねた。その様子に、松吉は引き下がらざるを得なかった。
: その翌日、火傷の娘が井川屋を訪れた。そして、自分は確かに真帆であると語り、火事から逃げる途中に嘉平を失い、お広もまた同じ場所で娘のおてつを失って、一緒に逃げたこと、それ以来お広は自分のことをおてつだと思い込んでいることを説明した。そして、お広の心が壊れないよう、明日からは道で会っても、自分は知らない女としてやり過ごして欲しいと願う。
: お広の元に帰る真帆を天満橋まで送った松吉に、真帆は嘉平が言い残した「今の倍の腰がある寒天」を完成させて欲しいと言い、松吉はそれを約束した。そして、摂津国の原村にある半兵衛の寒天場に修行に出して欲しいと和助に願った。こうして、松吉が腰の強い寒天を作るための、長きにわたる試行錯誤の日々が始まる。
; 第7章:さらなる試練
: 半兵衛の作った寒天は評判を博し、井川屋も大いに繁盛した。そんな中、松吉は今年も寒天場に行かせて欲しいと和助に願う。なんと、それをこれまでずっときつく当たってきた善次郎が応援してくれた。ところが、その冬も、さらに3年目の冬も、腰の強い寒天作りは失敗に終わった。
: その次の年には、またも大坂を大火が襲い、真帆とお広も被災したが、真帆は自分たちの無事を知らせるため、井川屋の戸口に簪を差し込み、そこに自分の手拭いをかけていた。そんな真帆に報いようと意気込む松吉だったが、4年目の冬も寒天作りは失敗する。こうして、松吉はいったん寒天作りをあきらめた。
: 寛政4年(1792年)の皐月16日、今度は天満一体を大火が襲う。井川屋は無事だったが、天満宮がまたも焼失してしまう。山城屋も店を失い、夫婦が意気消沈しているのを心配した梅吉は、いったんは断った養子話を受け入れることにする。その意気に目を開かれた松吉は、5年目の冬も寒天作りに行かせて欲しいと和助に願った。天満宮を焼かれ、梅吉に去られて気弱になっていた和助と善次郎は強く反対したが、松吉は翌日黙って半兵衛の元に向かう。
; 第8章:結実ひとつ
: 半兵衛の元で5年目の冬を迎えた松吉は、さらなる試行錯誤の上、ついに強い弾力を生み出す糸寒天を完成させる。そして、糸寒天の試作品と共に井川屋に戻る船中で、松吉はまずい羊羹を買い求める。そこから寒天を具材を固めるために使うのではなく、つなぎとして使ってはどうかという発想を得る。井川屋では、勝手に店を飛び出した松吉を責めもせず、さっそく糸寒天の試食が行なわれる。和助も善次郎も、その食感に驚く。
: その日、和助は松吉を連れてお広の団子屋を訪れる。そして、松吉と、おてつの名で生きる真帆をお広の前で引き合わせ、今後は堂々と松吉が団子屋を訪れることができるようにしてくれた。
: 松吉は、真帆の作る団子がでできていたのを見て、糸寒天を餡のつなぎに使えないかと試作を始めた。善次郎の取りなしもあって、和助は糸寒天の半分を松吉の自由にして良いと許可を与える。
; 第9章:迷い道
: 和助は、試作品の糸寒天を使った「虫養い」という菓子を開発し、客に無償で提供する。これが当たって、井川屋の評判はうなぎ登りとなり、翌年には本格的に仕入れるようになった糸寒天が飛ぶように売れる。一方、松吉が行なっていた、糸寒天を餡のつなぎにするという研究は、その後も試行錯誤を繰り返すばかりだった。
: 度重なる失敗に疲れた松吉は、真帆に会いたいと思うが、せっかく和助が道を開いてくれたにもかかわらず、その後一度も会いに行っていなかった。梅吉には「4年も会わずにいられるのは、惚れていない証拠だ」と指摘されるが、松吉本人は真帆への恋愛感情を自覚しており、惚れているからこそ会えないのだと思う。
: 寛政9年の水無月、大火の後で主人が亡くなった美濃志摩屋の後を継いだ孝三が、井川屋を訪れる。そして、半兵衛との取引を停止するように要求した。和助はそれに反論し、逆に美濃志摩屋との取引を停止してしまう。
: 翌月、ついに銀2貫が貯まる。いよいよ天満宮へ寄進しようとしたとき、半兵衛が店にやってきた。孝三が手を回し、今まで使っていた丹後産の天草が使えなくなったため、来年は糸寒天が納められなくなったという。そこで和助と善次郎は、半兵衛が伊豆産の天草を仕入れることができるようにと、ようやく貯めた銀2貫を、迷いもなく差し出した。それに対して松吉は、自分一人が迷い道の中を歩いているようだと感じる。
; 第10章:興起の時
: 研究に根を詰める松吉のことを心配した和助と善次郎の勧めに従い、松吉は母親の墓参のために、故郷の苗村藩に出かけることになった。出立前にお広に風呂敷を返しに行った松吉は、真帆に縁談が持ち上がったことを知る。この話をどう思うかと意見を聞かれた松吉は、「相手は真帆のことを大事にしてくれる人だすか?」と尋ね返した。お広はただ口ごもるだけだった。真帆とも顔を合わせ、墓参に行ってくると伝えると、真帆は「松吉、私、ほんまは」と絞るようにつぶやいて走り去る。松吉は、追いかけて抱きすくめたい衝動に駆られたが、動くことができなかった。
: 苗村についてみると、あれほど貧しかった故郷の光景がすっかり変わっており、当時は存在しなかった清流が村を貫き、豊かな水田が広がっていた。村の老人に話を聞くと、20年ほど前に苗村藩は取り潰され、今は尾張藩の支配下にあると告げられた。そして、取りつぶしのために藩士たちが路頭に迷いかけたとき、昨日死んだ建部玄武が銀2貫もの大金を差し出し、新田開発を提案した。そのおかげで希望を見いだした藩士たちは、刀を捨てて田畑を耕し、天明の大飢饉も誰も欠けずに乗り越えたという。そして、老人は土産にと村特産の小豆をくれた。松吉は、この29年の人生のすべてが報われ、赦されたと感じ、涙する。
: 大坂に戻ってきた松吉は、お広が心臓病のために長くないと聞かされた。病床のお広は、枕元に来た松吉と真帆を見比べて「よう似合うてる」と語り、最後に「おてつ、もうええよ」とつぶやいてこと切れる。
: お広の葬儀から戻った夜、井川屋に半兵衛が現れ、伊豆産天草を仕入れる仕組みが成ったことを知らせる。その帰り際、半兵衛は松吉に、自分で餡を作ってみたらどうかと提案し、諦めずに一歩一歩進めと励ました。松吉は、これまでの半兵衛の苦労と、苗村藩士たちの努力を思い浮かべながら、自分も何度挫折してもまた立ち上がってやると決意する。
; 最終章:銀二貫
: お広の葬儀から初七日過ぎまで、ずっと真帆の面倒を見ていた山城屋のご寮(りょん)さん〔上方で、商人の妻のこと。〕が、松吉に、彼と真帆とが慕い合っているのは、誰に目にも明らかだと言い、お広も二人が結ばれることを望んでいたと語る。それを聞いた松吉は、真帆の元に走って行き、彼女を強く抱きしめる。こうして、二人は結婚を約束する。しかし、その時期は、天満宮への寄進が済んでからということになる。
: 餡のつなぎ作りは、梅吉の提案により、真帆の助けを借りることになった。そして二人は、ついに練り羊羹を作り上げる。翌日、和助に報告した松吉は、この技術は公開し、自分が独り占めにするつもりはないと語る。
: 寛政12年(1800年)睦月10日。和助の養子となった松吉と真帆は、この日祝言を挙げる。2人が婚約して3年、それぞれ32歳と27歳になっていた。そして、井川屋は、22年越しで天満宮への寄進を行なう。
: 念願の寄進を終えて安心したのか、82歳の和助は寝込むことが多くなる。和助の枕元に来た善次郎が呼びかけると、夢を見ていたらしい和助は、「なあ、善次郎、私はええ買い物、したなあ」とつぶやく。善次郎も、仇討ち買いのことを言っているのだと悟り、涙声で「へえ、旦那さん。ほんに安うて、ええ買い物でおました」と答える。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「銀二貫」の詳細全文を読む




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