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截金 : ウィキペディア日本語版
截金[きりかね]
截金(きりかね、切金)は、細金(ほそがね)とも呼ばれ金箔銀箔プラチナ箔を数枚焼き合わせ細く直線状に切ったものを、筆と接着剤を用いて貼ることによって文様を表現する伝統技法である。細い線状の截金と、三角形菱形型などの形に切った截箔・切箔(きりはく)、箔をある形に截り透かした裁文(さいもん)、これらを単独あるいは組み合わせて表した文様を截金文様と呼ぶ。日本においては特に仏像仏画の衣や装身具を荘厳するために発達してきた〔宮絵師安川 工房探訪 截金について (リンク切れ)〕。現代では工芸品として利用されることも多く、京都市の伝統産業として京の手しごと工芸品に認定されている〔京都市産業観光局 伝統産業課 京都市の伝統産業
京都市産業観光局 伝統産業課 京都市の伝統産業 京の手しごと工芸品(その4) 〕。
== 歴史 ==
アジア以外の作例として、ヘレニズム時代紀元前300-30年頃)の地中海沿岸で製造されたと推定される、金箔による植物文様を2層の透明ガラスの間に挟み込んだゴールドサンドイッチガラス(金箔入りガラス)と呼ばれるものがある。「金箔入りガラスボウル」〔英語:Sandwich Gold-glass bowl大英博物館蔵、発見場所イタリアプッリャ州カノーザ・ディ・プーリア、製造場所不明。なお、この作品の縁に見られる波のような文様とアカンサスの葉の文様はオルビアウクライナ)で発見されたガラス破片とも共通する。詳細はB.Pharmakovsky著の「Fouilles d'Olbia en 1902-3」p181を参照。〕〔Bowl of sandwich gold glass with a floral design in gold leaf sandwiched between two layers of clear glass 全体画像 側面からの画像 側面からの拡大画像 底面からの拡大画像 〕〔カノーサ出土の別の作例としてWhite glass bowl with gold leaf patterns sandwiched between the layers 上部からの画像 側面からの拡大画像 底面からの画像 〕、「金箔入りガラスプレート」〔英語での名称はPiatto con scena di caccia(狩猟場面を描いたプレート)、を馬上からで射抜こうとする狩人とレイヨウ狩猟犬が描かれている、レッジョ・ディ・カラブリア考古美術館蔵、発見場所イタリアカラブリア州オッピド・マメルティーナトレシリコからヴァラポーディオ周辺〕〔文化財・文化活動省のサイトCoppa in vetro in lamina d oro con scene di caccia (II sec. a.C.), da Tresilico, Museo Archeologico di Reggio Calabria 〕、「金箔入りスキュポス」〔メトロポリタン美術館蔵、ブドウの房とが表現され青いエナメル装飾があるのが特徴〕〔The Metropolitan Museum of Art Gold-glass skyphos(drinking cup) fragment 〕や「金箔入りガラスカップ」〔Coppa in gold-glass technique dorato、コーニングガラス博物館蔵、製造地は地中海東岸アレクサンドリアと推定〕〔Corning Museum of Glass, Collection Search, Gold Glass Bowl もしくはGlassway, Storia del Vetro artigianale e artistico, Ellenismo を参照。〕が例である〔その他の例としては丝绸之路对中国古代玻璃艺术的影响 を参照。Keith Cummings著の「Tecniques of Kiln-Formed Glass」p17に詳細が記載されている。〕。4世紀頃には「金箔入りガラスメダリオン」〔英語:Gold-glass medallion大英博物館蔵、発見場所ローマカタコンベ〕〔The British Museum, Explore, Highlights, Gold-glass medallion showing Herakles 〕や「金箔入りガラスベース」〔英語:Gold-glass bases、イスラエル博物館蔵、発見場所ローマのカタコンベ〕〔Israel Museum, Archaeology, Glass Through the Ages 〕、「金箔入りガラス碑文」〔英語:Burial inscription、ユダヤ博物館(ニューヨーク)蔵、発見場所ローマのカタコンベ〕〔The Jewish Museum, Collections, Burial Inscription 〕が製造されており、これらは金箔をガラスに貼り付けた後、先の細い道具を使って刻むことにより、模様を浮かび上がらせた截文の例であると考えられる〔The Victoria and Albert Museum, Medallion "A needle point was then used to scratch and stipple the gold-leaf to create a delicate portrait or other decoration." (針のような尖ったもので金箔を引っ掻いたり点刻することによって、繊細な描写や表現をする)〕〔Corning Museum of glass, Glass of the Romans, Medallion with Portrait  "Roman glassmakers applied the gold as foil, which was usually decorated by removing unwanted areas and adding scratched or painted details."(ローマのガラス職人は金箔を貼り、その金箔の不必要な部分を取り除いたり、細部を引っ掻いたり着色を加えることで装飾する)〕〔金箔と仏像 目次3 法隆寺金堂の広目天像 截文と截金 〕。その後、9世紀から10世紀頃のアッバース朝下のイラクシリアから「金箔入りガラスボウル」〔英語:Fragment of a glass bowl、デイビッドコレクション蔵、発見場所イラクもしくはシリア〕〔The David Collection, The collections, Islamic Art, Islamic dynasties, The Abbasids 〕、や「金箔入りガラスタイル」〔英語:Tile with Gold-sandwich Decoration、MIHO MUSEUM蔵、発見場所シリア〕〔MIHO MUSEUM, Tile with Gold-sandwich Decoration 〕が、12世紀前半のザンギー朝下のシリアでは「金箔入りガラス」〔英語:Bottle belonging to the Atabeg Imad al-Din Zangザンギー)、大英博物館蔵、発見場所シリア〕が発見されており、技法が伝播していることが窺える〔qantara Mediterranean Heritage, Materials and techniques, Glass "Gilt glassware has been known since Ancient Rome. In the Islamic arts, it was not widespread until the end of the twelfth century. So-called ‘sandwich glass’ (where gold leaf is placed inside two layers of glass) was introduced in the 10th century"〕。
中国では北斉時代(550-577年)の菩薩像2体〔山東省青州博物館蔵〕に截金が見られる。菩薩立像の胸飾りや腕釧は金箔で彩られ、真ん中に合わせ目を見せる赤い裳には緑と赤の区画に白い丸文を描いた文様が縦に連なっており、この区画の境界線には截金が使われている。また、もう1体の菩薩像残欠には中央の飾り帯の環状飾りより下に、截金によって二重の亀甲文の中に亀を描いており、裳裾にも縦長の亀甲文の中に3枚の葉をもった植物文を上下に重ねた文様などが施されている〔忘れへんうちに 中国・山東省の仏像展で新発見の截金は 〕〔MIHO MUSEUM 中国・山東省の仏像 飛鳥仏の面影 截金の発見 〕。
朝鮮半島では6世紀前半、百済忠清南道武寧王陵出土の王妃木製頭枕に朱と思われる赤色に着色された表面に、幅をもたせて帯のように切られた線状の金箔による亀甲文様が施されているのが確認されている〔大韓民国文化財庁(문화재청、Cultural Heritage Administration of Korea) 武寧王妃 頭枕(무령왕비 베개) 〕〔忘れへんうちに 亀甲文はどこからきたのか 〕。
日本においては、7世紀半ばの飛鳥時代朝鮮半島中国大陸より仏像彫刻仏画とともに伝わったといわれる。法隆寺所蔵玉虫厨子の須弥座上框下の請花花弁先端部分に小さな長菱形の截箔が施されており、これが国内に現存する最古の截金作品とされる〔金箔と仏像 目次3 截箔、裁文、截金とはなにか?その使用例 法隆寺の玉虫の厨子-截箔 〕。また、白鳳文化を代表する絵画である高松塚古墳壁画には天井に描かれた日月図に金箔と銀箔(鼠色に変色)の截箔が使用され、星宿図には直径0.9cmほどの円形の金箔が使用されている〔asahi.com 星宿図の天井石を報道公開 高松塚古墳・石室解体 2007年05月29日21時26分 〕〔金箔と仏像 目次3 高松塚古墳壁画 金箔と銀箔 〕。
奈良時代には、東大寺法華堂(三月堂)の乾漆造四天王立像(国宝)の仏像の衣や甲冑の装飾、東大寺戒壇堂の塑造四天王像の着衣の地文に直線文と点綴文の截金が使用されている〔金箔と仏像 目次3 東大寺戒壇院四天王像 截金 〕。正倉院宝物の新羅琴・金薄輪草形鳳形〔読み:しらぎごと・きんぱくわのくさがたおおとりがた〕には菱、松葉、草花文や曲線で表現した鳳凰文などの截金文様を見ることができる〔金箔と仏像 目次3 正倉院宝物金薄押新羅琴 〕〔宮内庁ホームページ、正倉院、宝物名称:新羅琴 金薄輪草形鳳形 〕。
平安時代には、仏画の荘厳に截金が取り入れられ、平安時代後期の高野山金剛峰寺の仏涅槃図や東京国立博物館蔵の金棺出現図などの仏画に繊細な截金文様を駆使したものがあり、仏教美術の隆盛と共に截金は飛躍的な発展を遂げたことが窺える。また、平等院の本尊・阿弥陀如来坐像(国宝)の台座下から見つかったガラス容器の破片84点のうち3点に截金装飾が確認されており、古代のガラス細工に截金が施された例は東アジアでは初めてである〔毎日新聞 <平等院>ガラス片に截金装飾 東アジアでは初めて 2011年10月7日(金)22時5分配信 〕。
鎌倉時代には、仏師快慶の活躍により新しい文様が生まれるなどしたが、室町時代から江戸時代にかけては次第に形式化し、金箔に代わって金泥による文様も普及したため、それ以降は継承者が少なくなっていった。近世以降は、東西両本願寺の庇護のもとで限られた人にのみ伝承される技になってしまったが〔宮絵師安川 工房探訪 截金について 〕、現代になりその技法を伝えようとする人々が現れ、講演会〔東京藝術大学 大学院美術研究科 文化財保存学専攻 保存修復彫刻研究室 仏像制作実演講演会 〕〔田中美術館 過去の特別展 截金の人間国宝展 〕や文化教室を通じて徐々に認知されつつある。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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