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ユークリッド環 : ミニ英和和英辞書
ユークリッド環[ゆーくりっどせいいき]
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〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。

: [ちょうおん]
 (n) long vowel mark (usually only used in katakana)
: [わ, かん]
 【名詞】 1. circle 2. ring 3. link 4. wheel 5. hoop 6. loop

ユークリッド環 : ウィキペディア日本語版
ユークリッド環[ゆーくりっどせいいき]
数学の特に抽象代数学および環論におけるユークリッド整域(ユークリッドせいいき、)あるいはユークリッド環(ユークリッドかん、)とは、「ユークリッド写像(次数写像)」とも呼ばれるある種の構造を備えたで、そこではユークリッドの互除法を適当に一般化したものが行える。この一般化された互除法は整数に対するもともとの互除法アルゴリズムとほとんど同じ形で行うことができ、任意のユークリッド環において二元の最大公約数を求めるのに適用できる。特に、任意の二元に対してそれらの最大公約数は存在し、それら二元の線型結合として書き表される(ベズーの等式)。また、ユークリッド環の任意のイデアルは主イデアル(つまり、単項生成)であり、したがって算術の基本定理の適当な一般化が成立する。すなわち、任意のユークリッド環は一意分解環である。
ユークリッド環のクラスをより大きな主イデアル環 (PID) のクラスと比較することには大いに意味がある。勝手な PID はユークリッド環(あるいは実際には有理整数環を考えるので十分だが)と多くの「構造的性質」を共有しているが、しかしユークリッド環には明示的に与えられるユークリッド写像から得られる具体性があるのでアルゴリズム的な応用に有用である。特に、有理整数環や体上一変数の任意の多項式環が容易に計算可能なユークリッド写像を持つユークリッド環となることは、計算代数において基本的に重要な事実である。
そういったことから、整域 が与えられたとき、 がユークリッド写像を持つことがわかるとしばしば非常に便利なのである。特に、そのとき が PID であることが分かるが、しかし一般にはユークリッド写像の存在が「明らか」でないときに が PID かどうかを決定する問題は、それがユークリッド環であるかどうかの決定よりも容易である。

== 動機付け ==
整数全体の成す集合 に自然な演算として加法乗法 を考える。よく知られた整数に対する長除法は、 における次の事実に強く依拠したものである:
; 除法の原理:「整数 と でない整数 が与えられたとき、 を満たす整数の対 が存在して、さらにそのようなものの中に または を満たすものが取れる」
および が正である場合のみを考えることにすれば、 と に関する制約条件は、単に「 または 」と表すことができる。
任意のにも加法と乗法の概念があるから、長除法の概念が任意の環で展開できないかを考えるのはある意味で自然なことだが、しかし剰余に関する条件(つまり「 または 」)を単なる環の文脈で定義することは(もちろん、環上に何らかの順序関係も定義されていないので)容易にはできない。こうして、各元に加法単位元 からの「距離」を導く(「次数」や「賦値」などとも呼ばれる)ある種のノルム〔必ずしも解析学でいうところのノルムの概念とは一致しない(特に解析学的なノルムのように一次の斉次函数になるとは限らない)。〕 を備えた環としてのユークリッド環の概念が導かれる。そうして、制約条件「 または 」を「 または 」で置き換わる。
ユークリッド環の裏にある本質的な考え方は、それが環であって「その任意の元 と任意の非零元 に対して、 の倍元の中に に十分近い元が存在する」という性質を持つということである。もちろん、その環が可除環(あるいは)であったならば、 を倍率として左から に掛ければ が得られる。つまり、体や可除環については に「ちょうど」一致するような の倍元が存在する。もちろんこのことは一般の環では成立するとは限らない(例えば整数環 では成り立たない)から、制約条件は「 の倍元の中に に十分近い元が存在する」というだけに緩めるのである。
自然な問いとして「次数はどのような集合に値を取るのか」という問題が考えられるが、多くの目的で(特にユークリッドの互除法が自由にできるという目的で)、自然数全体の成す集合 に値をとるものと定めるのが普通である。自然数全体の成す集合 の持つ、この文脈で重要になる性質は、それが整列集合を成すことである。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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