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言語の起源 : ミニ英和和英辞書
言語の起源[げんごのきげん]
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〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。

: [げん]
 【名詞】 1. word 2. remark 3. statement 
: [ご]
  1. (n,n-suf) language 2. word 
起源 : [きげん]
 【名詞】 1. origin 2. beginning 3. rise 
: [みなもと, げん]
 【名詞】 1. source 2. origin 

言語の起源 : ウィキペディア日本語版
言語の起源[げんごのきげん]

ヒトにおける言語の起源は広範に議論される話題である。それにもかかわらず、究極的な起源やその年代についての合意は得られていない。経験的な証拠では限界があり、多くの学者はこの話題を概して真剣な研究の対象にそぐわないものとみなし続けている。1866年に、パリ言語学協会はこの主題を禁止するまでに至った。この禁止令は西洋世界の大部分を通じて影響力を保っている〔Stam, J. H. 1976. Inquiries into the origins of language. New York: Harper and Row, p. 255.〕。今日、言語が最初に起こったのはどのように、なぜ、いつ、どこでなのかに関して数多くの仮説が存在する。チャールズ・ダーウィン自然選択による進化の理論がこの話題に対する空想を励起した100年前よりも今日の方が合意に至るのは困難である〔Müller, F. M. 1996 . The theoretical stage, and the origin of language. Lecture 9 from Lectures on the Science of Language. Reprinted in R. Harris (ed.), The Origin of Language. Bristol: Thoemmes Press, pp. 7-41.〕。しかしながら、1990年代初頭以降、「科学の最難問」を考え始めるのに新しい方法でとりくむ言語学者考古学者心理学者人類学者その他の専門家の数が増加している〔Christiansen, M. H. and S. Kirby, 2003. Language evolution: the hardest problem in science? In M. H. Christiansen and S. Kirby (eds), Language Evolution. Oxford: Oxford University Press, pp. 1- 15.〕。
==アプローチ==
言語の起源に対するアプローチは、何を基本的な前提にしているかによって分類することができる。「連続性理論」は、言語は複雑なので何もない所から急に完全な形で言語が現れるのを想像することはできないという考えに基づいている。言語は、私たちの祖先の霊長類の間で言語に先立つ前-言語的体系から発展してきたに違いない、とされる。「不連続性理論」は、逆の考え、つまり、言語は他に類のない特徴なのでヒト以外の動物の特徴と比較することはできないし、そのため人間の進化の過程で全く突然に表れたに違いない、という考えに基づいている。もう一つの異なる理論は、言語が概して一般的に符号化された生来の能力であると大抵みなしている前二者と違い、言語を主に文化的な、つまり、社会的な交流を通じて習得される体系だとみなす。
ノーム・チョムスキーは不連続性理論の卓越した唱道者だが、この問題に関して彼は同僚たちの中で孤立している。約十万年前に言語機能(心―脳の構成要素)が「瞬間的に」「完全」もしくは「ほぼ完全」な形で出現するような進化の一度きりの突然変異が霊長類の一個体に起こった、と彼は主張している。続いて哲学的主張が手短に行われた。まず、進化について知られている者から:一個体における偶発的な遺伝的変化によって種のいかなる生物学的変化も起こり、そうした変化が交配可能な集団内で広がっていく。第二に、言語理論の計算機的観点から:求められる唯一の能力は心の再帰的データ構造(いわゆる離散的無限の性質、人の心に特異的に表れる)を構成・処理する認知能力である。ヒトの心に離散的無限という性質を付与するこの遺伝的変化は(Nを定数として)Nまで数え上げることができるなら無限に数え上げることができる(つまり、Nまで構成できるならN+1も構成できる)ことになる、とチョムスキーは主張している。このことは、論理的事実の問題として心が決まった数までしか数え上げられない状態から無限に数え上げられるようになる漸進的な変化の方法が存在しないのでヒトの言語機能の進化は跳躍進化であるという主張を前提としている。不正確な類推ではあるが、ヒトにおける言語機能の形成は結晶の形成に似ている。離散的無限は霊長類の過飽和状態の脳における種結晶であり、一たび一つの小さいがしかし決定的なかなめ石が進化によって生まれると物理的法則によって今にも発展してヒトの心にならんばかりになる〔Chomsky, N. (2004). Language and Mind: Current thoughts on ancient problems. Part I & Part II. In Lyle Jenkins (ed.), ''Variation and Universals in Biolinguistics.'' Amsterdam: Elsevier, pp. 379-405.〕〔Chomsky, N. (2005). Three factors in language design. ''Linguistic Inquiry'' 36(1): 1-22.〕。
連続性に基づく理論は近年大多数の学者が唱えているが、発展をどのように把握するかに関しては諸説ある。言語を概ね先天的なものだとみなす人々の中には、―特にスティーヴン・ピンカー〔Pinker, S. and P. Bloom (1990). Natural language and natural selection. ''Behavioral and Brain Sciences'' 13: 707-84.〕は—ヒト以外の霊長類の中で先駆者を特定することを考えようとせず、単に言語機能は通常の漸進的な方法で発展したに違いないという考えを強調する者もいる〔Pinker, S. (1994). ''The Language Instinct.'' London: Penguin.〕。言語を概ね先天的なものだとみなす人々の中には、―特にイブ・ウルベク〔Ulbaek, I. (1998). The origin of language and cognition. In J. R. Hurford, M. Studdert-Kennedy and C. D. Knight (eds), ''Approaches to the evolution of language: social and cognitive bases.'' Cambridge: Cambridge University Press, pp. 30-43.〕は—言語は霊長類のコミュニケーションからではなく、それより著しく複雑である霊長類の認知能力から発達してきたと述べる者もいる。マイケル・トマセロのような言語を社会的に習得されるコミュニケーションの道具とみなす人々は、言語は音声ではなくジェスチャーによる霊長類のコミュニケーションの認知的に制御された側面から発展してきたとみなす〔Tomasello, M. 1996. The cultural roots of language. In Velichkovsky, B. M. and D. M. Rumbaugh (eds), ''Communicating Meaning. The evolution and development of language.'' Mahwah, NJ: Erlbaum, pp. 275-307.〕〔Pika, S. and Mitani, J. C. 2006. 'Referential gesturing in wild chimpanzees (Pan troglodytes)'. ''Current Biology'', 16.191-192.〕。音声的な面での言語の先駆者を考える際には、連続性理論をとる人々の多くは言語が初期の人の歌う能力から発展してきたと想像する〔''The Economist'', "The evolution of language: Babel or babble? ", 16 April 2011, pp. 85-86.〕〔Cross, I. & Woodruff, G. E. (2009). Music as a communicative medium. In R. Botha and C. Knight (eds) ''The Prehistory of Language'' (pp113-144), Oxford: Oxford University Press, pp. 77-98.〕。
言語の発生を何らかの社会的変化の結果とみなす人々は連続性か非連続性かという対立を超えた立場に立つ〔Knight, C. and C. Power (2011). Social conditions for the evolutionary emergence of language. In M. Tallerman and K. Gibson (eds), ''Handbook of Language Evolution.'' Oxford: Oxford University Press, pp. 346-49.〕。ここでいう社会的変化とは先例のないレベルでの公共的信託が生まれることによってそれまで休眠状態に置かれていた言語的創造を成す遺伝的能力を開放するようなものである〔Rappaport, R. A. (1999). Ritual and Religion in the Making of Humanity. Cambridge: Cambridge University Press.〕〔Knight, C. (2010). 'Honest fakes' and language origins. ''Journal of Consciousness Studies'', 15: 10-11, pp. 236-48.〕〔Knight, C. (2010). The origins of symbolic culture. In Ulrich J. Frey, Charlotte Störmer and Kai P. Willfuhr (eds) 2010. Homo Novus – A Human Without Illusions. Berlin, Heidelberg: Springer-Verlag, pp. 193-211.〕。「儀式・発話の共進化理論」はこのアプローチの一例である〔Knight, C. 1998. Ritual/speech coevolution: a solution to the problem of deception. In J. R. Hurford, M. Studdert-Kennedy and C. Knight (eds), ''Approaches to the Evolution of Language: Social and cognitive bases.'' Cambridge: Cambridge University Press, pp. 68-91.〕〔Knight, C. 2006. Language co-evolved with the rule of law. In A. Cangelosi, A. D. M. Smith and K. Smith (eds) ''The evolution of language. Proceedings of the Sixth International Conference (EVOLANG 6).'' New Jersey & London: World Scientific Publishing, pp. 168-75.〕。こういったグループに属する学者は、チンパンジーボノボでも、野生状態ではほぼ使わないとはいえ、記号を使う能力を潜在的に有しているという事実を指摘する〔Savage-Rumbaugh, E.S. and K. McDonald (1988). Deception and social manipulation in symbol-using apes. In R. W. Byrne and A. Whiten (eds), ''Machiavellian Intelligence.'' Oxford: Clarendon Press, pp. 224-237.〕。
言語の発生はヒトの先史時代にまで遡るので、関連する発展は歴史的痕跡を残していない。今日同等の過程を観察するのも不可能である。それにもかかわらず、近代において新しい手話―例えばニカラグア手話―の発生が、言語の発生に必然的に伴う発展の段階と創造の過程に関する知見をもしかしたら供給してくれるかもしれない〔Kegl, J., A. Senghas and M. Coppola (1998). Creation through Contact: Sign language emergence and sign language change in Nicaragua. In M. DeGraff (ed.), ''Language Creation and Change: Creolization, Diachrony and Development.'' Cambridge, MA: MIT Press.〕。もう一つのアプローチは初期の人類の化石を調査し、言語使用に対する肉体的な適応の痕跡を探すというものである〔Lieberman, P. and E. S. Crelin (1971). On the speech of Neandertal Man. Linguistic Inquiry 2: 203-22.〕〔Arensburg, B., A. M. B. Vandermeersch, H. Duday, L. A. Schepartz and Y. Rak (1989). A Middle Palaeolithic human hyoid bone. ''Nature'' 338: 758-760. 〕。絶滅した人類のDNAが見つかると、言語に関係する遺伝子―例えばFOXP2―の塩基配列をホモ・サピエンスのそれと比較することが有益となるかもしれないと考えられる場合もある〔Diller, K. C. and R. L. Cann (2009). Evidence against a genetic-based revolution in language 50,000 years ago. In R. Botha and C. Knight (eds), ''The Cradle of Language.'' Oxford: Oxford University Press, pp. 135-149.〕。さらにいま一つの、考古学的なアプローチでは、一般的な記号から特殊的な言語への発展に関する推測を正当化する論理的な主張が発展している一方で、ボディペインティングに用いる黄土色顔料の採掘や修正のような考古学的痕跡を残す(繰り返し行われる儀式的活動のような)象徴的な行動を頼りにする〔Henshilwood, C. S. and B. Dubreuil (2009). Reading the artifacts: gleaning language skills from the Middle Stone Age in southern Africa. In R. Botha and C. Knight (eds), ''The Cradle of Language''. Oxford: Oxford University Press, pp. 41-61.〕〔Knight, C., (2009). Language, ochre and the rule of law. In R. Botha and C. Knight (eds), The Cradle of Language. Oxford: Oxford University Press, pp. 281-303.〕〔Watts, I. (2009). Red ochre, body painting, and language: interpreting the Blombos ochre. In R. Botha and C. Knight (eds), ''The Cradle of Language.'' Oxford: Oxford University Press, pp. 62-92.〕。
言語の進化やその解剖学的な必要性の時間の範囲は、少なくとも原則上は、チンパンジー属(5-6百万年前)からヒト属の系統的多様性(2.3-2.4百万年前)から約150000-50000年前の完全な現代的行動まで広がっている。音声的コミュニケーションを著しく欠いていたであろうアウストラロピテクスが概して大型類人猿より洗練された音声的コミュニケーションを行っていたと唱える者はほとんどいない〔Arcadi, A. C. 2000. Vocal responsiveness in male wild chimpanzees: implications for the evolution of language. ''Journal of Human Evolution'', 39, 205-223.〕が、約2.5百万年前の「ヒト属」の出現以降の発展については学者の間で諸説ある。原始的な言語様の体系(原言語)は「ホモ・ハビリス」と同時期に出現したと考える学者もいれば、記号によるコミュニケーションの発展はホモ・エレクトゥス(1.8百万年前)やホモ・ハイデルベルゲンシス(0.6百万年前)と同時期にすぎず、言語の発展は20万年前以内のホモ・サピエンスに似つかわしいと提議する学者もいる。
今日の近代語の拡散と多様性を達成するのに要求される時間を推量するために統計学的手法を利用して、カリフォルニア大学バークレー校の言語学者ジョハンナ・ニコールズは、音声言語は少なくとも10万年前に現生人類において現れたと主張している。この発見は、ホモ・サピエンス種が形成されたのと大体同じ時期である中期旧石器時代サブサハラ地域のどこかで言語が発生したであろうという遺伝学的・考古学的・古生物学的、その他の多くの証拠がそれぞれ独立に支持している〔Botha, R. and C. Knight (eds) 2009. ''The Cradle of Language.'' Oxford: Oxford University Press.〕。
言語学者たちは「原始的」言語が現存しないことを認める。現在生きている人は皆、少なくとも大まかには、同等の複雑性・表現力を備えた言語を話している〔Pinker, S. (2003) Language as an adaptation to the cognitive niche, in M. H. Christiansen and S. Kirby (eds), ''Language Evolution''. Oxford: Oxford University Press, pp. 16-37.〕。しかしながら、世界で話されている言語はずっと、複雑性に関して同等であり変わらなかったし現在もそうであるという20世紀のイデオロギーはもはや受け入れられない。より近年の研究によって、どのように言語の複雑性が歴史的時間を通じて言語間・言語内で違うのかが調査されてきた〔Sampson, G., D. Gil and P. Trudghill (eds), Language Complexity as an Evolving Variable. Oxford: Oxford University Press.〕。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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