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細胞接着分子 : ミニ英和和英辞書
細胞接着分子[さいぼうせっちゃくいんし]
cell adhesion molecule
===========================
接着 : [せっちゃく]
  1. (n,vs) fastening with glue 
: [ちゃく]
  1. (n,suf) (1) counter for suits of clothing 2. (2) arriving at .. 
: [ぶん, ふん]
  1. (n,n-suf,pref) (1) part 2. segment 3. share 4. ration 5. (2) rate 6. (3) degree 7. one's lot 8. one's status 9. relation 10. duty 1 1. kind 12. lot 13. (4) in proportion to 14. just as much as 1
分子 : [ぶんし]
 【名詞】 1. numerator 2. molecule 
: [こ, ね]
 (n) first sign of Chinese zodiac (The Rat, 11p.m.-1a.m., north, November)
細胞接着分子 : ウィキペディア日本語版
細胞接着分子[さいぼうせっちゃくいんし]

細胞接着分子(さいぼうせっちゃくぶんし、英: cell adhesion molecules、略称:CAMs)は、細胞接着を担う分子の総称である。多細胞生物実験動物でもあるマウスラットニワトリショウジョウバエ線虫ゼブラフィッシュなどと、培養細胞やヒトを中心に研究され、発見された。分子の実体は、主にその生物が合成するタンパク質高分子)で、ファミリーやアイソフォームを含めると数百種類に及ぶタンパク質性の細胞接着分子が発見されている。細胞接着分子のミメティックス(模造品)の有機合成化合物や組み換えDNA産物は、考え方にもよるが、人工的な細胞接着分子とみなす人が多い。、非生物の合成高分子などにも細胞接着をする物質がある。
生物が合成する低分子有機化合物有機合成化合物、無機化合物にも細胞に接着する分子はあるが、一般的には、これらは細胞接着分子の範疇に入れない。
細胞は、細胞接着部位で細胞表面に細胞接着装置を作る。細胞接着装置は、1.細胞外タンパク質、2.細胞膜タンパク質、3.細胞膜裏打ちタンパク質(細胞質内に接着装置を支える)、4.細胞内シグナル伝達タンパク質(含・アダプタータンパク質)、5.細胞骨格、の5大分子群で構築されている。考えようによっては、これら全部が「細胞接着分子」だが、通常は、「1と2」を細胞接着分子とし、「3、4、5」は細胞接着分子の範疇に入れない。ここでもその定義に従った。
細胞接着分子は、ファミリーやアイソフォームを含めると数百種類におよぶため、ここでは、ファミリーやアイソフォームは代表分子を示した。

== 歴史 ==
発生生物学では、数世紀にわたって観察されてきた発生過程の生命現象が、ここ数十年、現象を担うタンパク質遺伝子が同定され、顕微鏡の発達による微細な形態的観察も合わせ、分子レベルの相互作用で理解されるようになってきた。
1908年、米国・ノースカロライナ大学のウィルソン(HV. Wilson〔 HV. Wilson 〕)は、色の異なる2種類の海綿を1つ1つの細胞までバラバラにしてから混ぜると、同じ色同士の細胞が集塊を作ることを発見した。この現象を細胞選別と呼ぶ。
1955年、米国・ロチェスター大学のドイツ系アメリカ人・ホルトフレーター(Holtfreter)の有名な実験では、黒イモリの予定表皮と白イモリの神経板を、1つ1つの細胞までバラバラにしてから混ぜると、両者は混ざり合って細胞集塊を作るが、細胞集塊の中で1つ1つの細胞は移動し、やがて予定表皮細胞は予定表皮細胞同士、神経板細胞は神経板細胞同士が集まる。つまり,細胞選別の結果,同じ細胞同士を選んで細胞接着する。
発生生物学の材料として、ウニやイモリが多用されていたが、1950年代、ニワトリマウスヒトなどの動物細胞を用いた細胞培養法が確立されていく。米国・シカゴ大学のイスラエル系米国人・モスコーナA.Moscona)が、トリプシンなどのタンパク質分解酵素による細胞解離法を開発し、細胞培養法を確立していく。継代培養(英:subculture)が可能な哺乳類細胞系(cell line)、細胞株(cell strain)、細胞クローン(cell clone)が次々と樹立されていく。
1950年代後半、モスコーナA.Moscona)は、高等動物の培養細胞を用いて、細胞を浮遊状態で旋回培養すると、もとの組織に近い細胞の集塊を作ることを発見した。例えば、肝臓からの細胞浮遊液と腎臓からの細胞浮遊液を混合して旋回培養すると、一度、均一な細胞集塊をつくるが、徐々に、肝臓の細胞は肝臓の細胞同士、腎臓の細胞は腎臓の細胞同士と、同種の細胞同士の集塊を作る。これを細胞選別と呼ぶと前述した。一方、同じ種類の細胞だが、異なる動物種だと、均一の細胞集塊を作る(キメラになっている)。例えば、ニワトリの軟骨形成細胞とマウスの軟骨形成細胞の細胞浮遊液を混合して旋回培養すると、均一な細胞集塊をつくり、時間が経過しても、ニワトリ由来細胞とマウス由来細胞に分離することがない。
細胞は、細胞選別する前に「細胞‐細胞接着」をする。この「細胞‐細胞接着」は、非特異的な分子間引力・結合力、つまり、万能の「のり」物質が担っている、あるいは、細胞表面の+-の電気的な親和力とと考えられた時代もある。というのは、「細胞‐基質接着」では、1970年代、アミノ酸リジンのポリマーポリリジン(polylysine)を培養プラスチック容器の表面にコートし、細胞の接着性を向上させ、細胞培養を行なうことが普通に行われていた。ポリリジンは+荷電した高分子である。それで、「細胞‐細胞接着」の細胞接着も非特異的ではないかと考えられた。
しかし、非特異的な万能「のり」や電気的な親和力では、細胞接着(細胞選別)の特異性を説明しにくい。生命科学研究者のセンスとして、生化学者が抗原抗体反応酵素反応の特異性をタンパク質で解明してきた華やかな時代の影響受け、細胞生物学者も、細胞接着の特異性はタンパク質が担っていると感じるようになる。
そして、1970年代、特定のタンパク質が細胞を接着することが証明された。その後、同じようなタンパク質がたくさん見つかり、これらを総称して、細胞接着分子と呼ぶようになった。これら、細胞接着分子は、1つのタンパク質が、ある程度まとめて「細胞‐細胞接着」「細胞‐基質接着」を担う場合と、個々のタンパク質が個々の細胞接着を担う、つまり特異性を担うことも徐々に解明されてきた。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「細胞接着分子」の詳細全文を読む




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