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モロコシ属 : ミニ英和和英辞書
モロコシ属[もろこしぞく]
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〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。


モロコシ属 : ウィキペディア日本語版
モロコシ属[もろこしぞく]

モロコシ属 (''Sorghum'') は、約30のが分類される、イネ科のである。その内のいくつかは穀物として、また多くが飼料として世界中で栽培される。栽培には温暖な気候が必要で、野生では熱帯及び亜熱帯に分布する。乾燥に強く、アフリカサバナからステップ地帯の主穀となっている。
なお、日本におけるモロコシには異名が多く、文献や機関によって異なる名前で記載されていることは珍しくない。一般的なものとしては、モロコシソルガムコーリャン(高粱)、タカキビなどの名がある。
== 分類と分布 ==

モロコシ属は、アフリカやユーラシアの低緯度地域を中心に熱帯、亜熱帯に広範に分布する。地中海からインドにかけてはセイバンモロコシ(ジョンソングラス)が野草として分布し、東南アジアにはpropinquum種がやはり野草として分布していた。また、栽培種近縁の種はアフリカのサバンナ地域に分布していた〔『ケンブリッジ世界の食物史大百科事典2 主要食物:栽培作物と飼養動物』 三輪睿太郎監訳 朝倉書店  2004年9月10日 第2版第1刷 pp.107-110〕。そのうち、栽培種であるSorghum bicolor(ソルガム・ビコロ、モロコシ)は5000年ほど前にSorghum arundinaceumとスーダングラスとの交配によって、西アフリカのサバンナ地帯からエチオピア高原にかけての地域にて栽培化されたと考えられている。この地域はスーダン農耕文化と呼ばれる文化が広がる地域で、モロコシのほかにもフォニオテフトウジンビエシコクビエバンバラマメ、アフリカイネなどの穀物が栽培化された栽培化の一大センターであるが、ここで栽培化された穀物の中でもモロコシは最も世界中に広がり、また大量に生産されている穀物である。
ソルガムが栽培化されたのちも、従来の他のソルガム属と交雑が起こり、野生種や雑草としての交雑種が成立していった。ソルガムの畑として開発された開けた土地に、同じ環境を好む野生種が入り込むことで多くの交雑種が生まれた。栽培種は南下してアフリカ全土に広がる一方、北上して古代エジプトへと伝わり、そこから東進してメソポタミア文明にも伝わった。紀元前7世紀のアッシリア帝国においてすでに栽培の記録が残っている。紀元前4世紀にはインドへ、4世紀には中国に伝わり、日本にも平安時代までには伝来し広く栽培されるようになった。エチオピアから18世紀には奴隷貿易に伴い栽培種が南米へと導入され、1853年にはアメリカへと導入された〔『新編 食用作物』 星川清親 養賢堂 昭和60年5月10日訂正第5版 pp293-294〕。この栽培種から再び雑草種が生まれ、アメリカに広がった。
野生種や雑草種も食用は可能であり、農耕に拠らない採集物として、また飢饉のときなどにも採集され食用とされる。野生や雑草種のソルガム属は脱粒性であるのに対し、栽培種は非脱粒性で収穫が容易になっている。一方で、栽培種との交雑種が多いことからもわかるように繁殖しやすく、駆除もしにくいため強害雑草となっているものも多く、とくにセイバンモロコシは世界最悪の10大雑草の一つに数えられている。〔BugwoodWiki Holm, L. G., P. Donald, J. V. Pancho, and J. P. Herberger. 1977. The World's Worst Weeds: Distribution and Biology. The University Press of Hawaii, Honolulu, Hawaii. 609 pp.〕日本においても1945年ごろに侵入し、帰化植物として各地に繁茂している。上記のように交雑や変異が起こりやすい植物であるため、亜種や品種の分類は非常に複雑なものとなっている。
中でも最も利用されることの多いモロコシ(Sorghum bicolor)に関しては、さらにビコロ、ギニア、カウダツム、カフィア、デュラの5つの基本種と10の中間種に分類されている〔「品種改良の世界史 作物編」p116 鵜飼保雄、大澤良編著 悠書館 2010年12月28日第1刷〕。品種としての分類のほか、多様な用途に適した品種が各種存在しているので、その用途に応じた分類も行われている(後述)。
作物としては根が深く、このため吸水能力が高いため主要穀物の中では最も乾燥に強い穀物である。吸肥性も同様の理由で高い。その割には湿潤にもよく耐え、日本のような多湿地域でも栽培が可能である。ただし、湛水中の水田などの沼地では栽培はできない。連作は可能であるが、可能であるだけで地力は落ちるので輪作が行われることが多い〔「新訂 食用作物」p260 国分牧衛 養賢堂 2010年8月10日第1版〕。全長は本来は3m以上にも達する、非常に高くなる草であるが、この高さでは機械での収穫に支障をきたすことや倒伏しやすいことから、アメリカを中心に全長を低くする品種改良がおこなわれ、現在では栽培種は1・5m程度にまで低くなった品種も主力の一つとなっている〔「新訂 食用作物」p258 国分牧衛 養賢堂 2010年8月10日第1版〕。栽培期間は、一般に早生が70日から80日程度、晩生で150日から160日程度で収穫となる〔「新訂 食用作物」p260 国分牧衛 養賢堂 2010年8月10日第1版〕。日本の山間部においては日照時間や農業に適した期間の短さなどから極早生が好まれる傾向にあり、岐阜県飛騨地方山間部における調査では播種から2か月少々(70日程度)で収穫が行われていた〔「雑穀の自然史 その起源と文化を求めて」内収録「飛騨の雑穀文化と雑穀栽培」堀内孝次 p99 北海道大学図書刊行会 2003年9月10日第1刷〕。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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