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S-VHS : ウィキペディア日本語版
S-VHS[えす ヴぃえいちえす]
S-VHS(エス・ヴィエイチエス/スーパー・ヴィエイチエス)とは、家庭用ビデオ方式のVHSをより高画質にするために開発された規格である(正式名称は「Super VHS」)。
== 概要 ==
1987年(昭和62年)に日本ビクター(現・JVCケンウッド)が発表し、同年4月にはその第1号機として「HR-S7000」が発売された。
従来のVHS(ノーマルVHS)では、画質の指標となる水平解像度が240TV本であり、VHS第1号機が発表された1976年(昭和51年)当時の、一般的な家庭用テレビの水平解像度は200TV本程度である。また、放送局で使われていた機材もさほど性能が良くなかった。この事からVHSは当時としては十分なビデオ規格であったと言える。
しかし1980年代半ば、NHK-BSなどの衛星放送がスタートし、高画質の放送が行なわれるようになった。また、従来通りの地上波においても、この頃になるとベータカムなどの高性能な映像機器が、多くの番組制作で活用されるようになり、VHSの解像度を超える高画質録画に対応した規格が要求されるようになった。そこで開発されたS-VHSは、輝度信号のFM信号帯域がVHSの3.4MHzから5.4MHzと広帯域化され、標準、3倍モード共に水平解像度400TV本以上を達成し、民生機では初めて映像信号の鮮明な記録を実現させた。なお、色信号に関しては帯域はVHSと変わらないが、これは従来VHSと大幅に規格を変えないためのやむを得ない処置であった。ただこの規格内において、視覚的により美しい色に見えるように、新製品が発表されるたびに信号処理などが改善が行われた。また輝度信号以外の規格を変更しなかった事で、後にS-VHSのVHS並みの画質での簡易再生「SQPB」機能により対応できた。
S-VHSで録画した実解像度については、録画した放送の解像度でしか再生されない。当時のアナログ地上波では水平解像度330本、BSアナログ放送でも350本程度が限界であり、明らかにオーバースペックであり、むしろ過剰な解像度のスペックはノイズ源となった。そのため一部の機器では、再生時においてあえて輝度信号帯域を狭くし、330本程度に水平解像度を低下させる機能が付加された。S-VHS規格が真価を発揮するのは、カムコーダーでの録画や、CGを使ったアニメーションビデオの制作など、テレビ放送よりも高解像度が実現できる場合に限られる。またデジタルチューナーを使った地上デジタル放送BSデジタル放送からの録画でも標準画質であるが、高解像度が発揮できる。
S-VHSより若干遅れて、ベータマックス方式でも「ED Beta」という高画質規格が登場し、市場競争が起きる。輝度信号の帯域拡大はS-VHSよりも著しく、水平解像度500本を確保し、またメタルテープを採用し高画質をアピールした。しかしながら下位互換機であるVHSの普及率の高さ、メタルテープの採用により逆にテープが高価格となった事があり、ED-BetaはS-VHSほどには普及しなかった。さらにS-VHSの規格でもテレビ放送録画に関しては過剰性能であったのに、ED-Betaの場合はさらに著しいものになったと言える。またED-Betaも色信号の帯域拡大を行っていない点ではS-VHSと同等であり、むしろ新製品が数多く登場したS-VHSでは対策がなされたのに対しED-Betaでは対策が行われず、90年代に入ってからは新製品投入で画質を向上させたS-VHSのほうが、ED-Betaより画質でも上回っているという評価を下すビデオ雑誌・評論家もあった。
登場間もない頃は、すべてのVHSビデオがS-VHS対応機に切り替わるという見方が多く、バブル経済による好景気もあって映像編集などを趣味とする消費者AVマニア)を中心に販売が好調だった。しかし、専用テープが必要である事や機器そのものが高額であった事、更に一般消費者の多くがVHSの画質でもさほど不満を持っていなかった(というよりテレビ録画では顕著な差が出なかった)事、S-VHSのビデオソフトのタイトル数が揃わなかった事に加えて、1991年(平成3年)のバブル崩壊による個人消費の落ち込みの影響もあって、企業学校などの業務用途、前述のマニアなど一部のヘビーユーザーを除き、S-VHS対応機の販売は好調なものではなかった。一方でカムコーダーにおいては、画質において顕著な差が見られた事、当時カムコーダー自体の低価格化が進んでいた事から廉価な製品(過剰な機能を取り除いたり、マイクと記録方式をモノラルにするなど)が登場した事によって、VHS-CからS-VHS-Cへの移行が順調に進んだ(ただし、カムコーダー分野では8ミリビデオ規格のほうが優勢であった)。
一般消費者へのS-VHSの普及の兆しが再び訪れたのは、1998年(平成10年)の「S-VHS ET」規格の登場以降である。この規格誕生の背景には、長年に渡るテープの研究開発の結果、普通のVHSテープの性能が向上し、HG(ハイグレード)タイプに至っては、登場初期のS-VHSテープと比べても性能的にほとんど差が無くなっていた(メーカー保証は無いが、HGタイプのVHSテープでD-VHSハイビジョン記録が可能な場合もある)点が挙げられる。さらにこの頃は地上アナログVHS機と地上アナログS-VHS機の価格差も1万円ほどであり購入しやすくなっていった。
2000年代前半頃から、ランダムアクセス・高画質記録を実現したDVDレコーダーの普及や、24時間以上の録画が1枚のメディア電子媒体)で可能(SDTVの場合)なBDレコーダーの登場などの理由により、日本ビクター以外のメーカー各社はすでにデッキの生産を終了しており、最後まで生産していた日本ビクターも2008年(平成20年)1月15日をもって民生用S-VHS対応機器をすべて生産終了し、21年の歴史に幕を下ろした(最終機種は「HR-VT700」・「HR-ST700」・「HR-V700」・「HR-S700」の4機種)〔S-VHSビデオデッキ販売終了のご案内(日本ビクター) 〕。業務用の「SR-MV50」についても、生産終了している。
なお、S-VHS機器の生産は終了したが、SQPB機能を備えたVHSビデオデッキは、BDレコーダーないしはDVDレコーダーとの一体型という形で生産が続いた。2012年2月10日にはパナソニックが「VHSデッキの日本国内向け生産を2011年限りで完全終了した」旨を公式発表したが、2012年5月1日、DXアンテナがVHS一体型DVDレコーダーの新製品を発表し、現在のところは、これが日本国内でS-VHS(簡易)再生機能を有する唯一の生産継続機器である。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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