翻訳と辞書
Words near each other
・ 階層的機構
・ 階層社会
・ 階層説
・ 階層集団
・ 階差
・ 階差数列
・ 階差機関
・ 階戸瑠李
・ 階数
・ 階数 (線型代数学)
階数・退化次数の定理
・ 階数分解
・ 階数因数分解
・ 階梯
・ 階梯者イオアン
・ 階段
・ 階段 (クルアーン)
・ 階段せん孔
・ 階段せん孔板
・ 階段のうた


Dictionary Lists
翻訳と辞書 辞書検索 [ 開発暫定版 ]
スポンサード リンク

階数・退化次数の定理 : ミニ英和和英辞書
階数・退化次数の定理[かいすう たいかじすうのていり]
=====================================
〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。

: [かい]
  1. (n,n-suf) -floor (counter) 2. stories 3. storeys 
階数 : [かいすう]
 (n) number of stairs or stories (storeys)
: [すう, かず]
  1. (n,n-suf) number 2. figure 
退化 : [たいか]
  1. (n,vs) degeneration 2. retrogression
: [か]
 (suf) action of making something
: [つぎ]
  1. (n,adj-no) (1) next 2. following 3. subsequent 4. (2) stage 5. station 
次数 : [じすう]
 (n) degree
定理 : [ていり]
 【名詞】 1. theorem 2. proposition
: [り]
 【名詞】 1. reason 

階数・退化次数の定理 : ウィキペディア日本語版
階数・退化次数の定理[かいすう たいかじすうのていり]
right
数学線型代数学の分野における階数・退化次数の定理(かいすう・たいかじすうのていり、)とは、最も簡単な場合、ある行列の階数(rank)と退化次数(nullity)の和は、その行列の列の数に等しいということを述べた定理である。特に、''A'' がある上の ''m''×''n'' 行列(行の数が ''m'' で、列の数が ''n'')であるなら、
:rank ''A'' + nullity ''A'' = ''n''
が成立する〔, page 199.〕。
この定理は線型写像に対しても同様に適用される。''V'' と ''W'' をある体上のベクトル空間とし、''T'' : ''V'' → ''W'' をある線型写像とする。このとき、''T'' の階数は ''T'' の像の次元であり、''T'' の退化次数は ''T'' のの次元である。したがって、
: dim (im ''T'') + dim (ker ''T'') = dim ''V''
が成立する。あるいは、同値であるが
: rank ''T'' + nullity ''T'' = dim ''V''
が成立する。これは実際、''V'' と ''W'' が無限次元であることも許しているため、前述の行列の場合よりもより一般的な定理となっている。
この定理の内容は、あるいは後述の証明を用いることで、次元のみならず、空間の間の同型写像に関する内容へと精練することが出来る。
より一般的に、線型代数学の基本定理によって関連付けられる像、核、余像、余核について考えることが出来る。
== 証明 ==
ここでは二つの証明を与える。初めの証明では、線型変換のための記号を用いるが、''T''(x) = Ax と書くことによって簡単に行列の場合にも適用できる(ここで A はある ''m'' × ''n'' 行列)。二つ目の証明では、階数が ''r'' のある ''m'' × ''n'' 行列 A に関する同次系について考え、A の零空間を張る ''n'' − ''r'' 個の線型独立な解が存在することを陽的に示す。
第一の証明\ が ''ker T'' の基底を形成すると仮定する。この基底を、''V'' の基底を形成するように \ へと拡張することが出来る。ker ''T'' の次元は ''m'' であり、''V'' の次元は ''m+n'' であるため、''image T'' の次元が ''n'' であることを示せば十分である。
\ が ''image T'' の基底であることを見る。''v'' を ''V'' 内の任意のベクトルとする。このとき、以下を満たす一意なスカラーが存在する:
: \mathbf=a_1 \mathbf_1 + \cdots + a_m \mathbf_m + b_1 \mathbf_1 +\cdots + b_n \mathbf_n
: \Rightarrow T\mathbf = a_1 T\mathbf_1 + \cdots + a_m T\mathbf_m + b_1 T\mathbf_1 +\cdots + b_n T\mathbf_n
: \Rightarrow T\mathbf = b_1 T\mathbf_1 + \cdots + b_n T\mathbf_n \; \; \because T\mathbf_i = 0
したがって、\ は ''image T'' を張る基底であることが分かる。
あとは、このリストが余分でないことを示せばよい。すなわち、\ が線型独立であることを示せばよい。その証明は、これらのベクトルの線型結合がゼロであるための必要十分条件が、その各ベクトルの係数もゼロであることを示すことで達成される。今
: c_1 T\mathbf_1 + \cdots + c_n T\mathbf_n = 0 \Leftrightarrow T\=0
: \therefore c_1 \mathbf_1 + \cdots + c_n \mathbf_n \in \operatorname \; T
とする。すると、u''i'' が ker ''T'' を張ることから、
: c_1 \mathbf_1 + \cdots + c_n \mathbf_n = d_1 \mathbf_1 + \cdots + d_m \mathbf_m
を満たすようなスカラー ''di'' の集合が存在することが分かる。しかし、\ は ''V'' の基底を形成するものであるため、すべての ''ci'' および ''di'' はゼロでなければならない。したがって、\ は線型独立であり、実際 ''image T'' の基底である。このことから、''image T'' の次元は ''n'' であることが分かり、目標は達成された。
より抽象的な言い方をすると、写像 ''T'': ''V'' → image ''T'' '' は分裂する。
第二の証明A を、''r'' 個の線型独立な列を含む ''m'' × ''n'' 行列とする(すなわち、A の階数は ''r'' である)。以下では次を示す:(i) 同次系 Ax = 0 に対して ''n'' − ''r'' 個の線型独立な解からなる集合が存在する;(ii) その他のすべての解は、それら ''n'' − ''r'' 個の解の線型結合で与えられる。すなわち言い換えると、列ベクトルが A の零空間の基底を形成するようなある ''n'' × (''n'' − ''r'') 行列 X を、以下では作る。
一般性を失うことなく、A の初めの ''r'' 個の列が線型独立であると仮定できる。すると、''r'' 個の線型独立な列ベクトルを含むある ''m'' × ''r'' 行列の A1 と、''n'' − ''r'' 個の各列が A1 の列ベクトルの線型結合で与えられるある ''m'' × (''n'' − ''r'') 行列の A2 を用いて、A = と書くことが出来る。このことは、ある ''r'' × (''n'' − ''r'') 行列 B に対して A2 = A1 B が成立することを意味し(階数因数分解を参照)、したがって A = である。(''n'' − ''r'') × (''n'' − ''r'') 単位行列 \mathbf_ に対し、\displaystyle \mathbf =
\begin
-\mathbf \\
\mathbf_
\end
とする。ここで X
:
\mathbf\mathbf = \begin
-\mathbf \\
\mathbf_
\end = -\mathbf_1\mathbf + \mathbf_1\mathbf = \mathbf\;
を満たす ''n'' × (''n'' − ''r'') 行列であることに注意されたい。したがって、X の ''n'' − ''r'' 個の各列は、Ax = 0 の特殊解である。さらに、以下に示すように Xu = 0 であれば u = 0 であることから、X の ''n'' − ''r'' 個の列は線型独立である:
: \mathbf\mathbf = \mathbf \Rightarrow \begin
-\mathbf \\
\mathbf_
\end\mathbf = \mathbf \Rightarrow \begin
-\mathbf\mathbf \\
\mathbf
\end = \begin
\mathbf \\
\mathbf
\end \Rightarrow \mathbf = \mathbf\; .
したがって、X の列ベクトルは Ax = 0 に対する ''n'' − ''r'' 個の線型独立な解の集合を構成する。
続いて、Ax = 0 の解はどのようなものでも、X の列ベクトルの線型結合で表現されることを示す。このことを示すために、Au = 0 を満たすような任意のベクトル \displaystyle \mathbf = \begin
\mathbf_1 \\
\mathbf_2
\end を定める。A1 の列ベクトルは線型独立であることにより、A1x = 0 であれば x = 0 が成立することに注意されたい。したがって、
:
\mathbf\mathbf = \mathbf \Rightarrow \begin
\mathbf_1 \\
\mathbf_2
\end = \mathbf \Rightarrow \mathbf_1(\mathbf_1 + \mathbf\mathbf_2) = \mathbf
\Rightarrow \mathbf_1 + \mathbf\mathbf_2 = \mathbf \Rightarrow \mathbf_1 = -\mathbf\mathbf_2
: \Rightarrow \mathbf = \begin
\mathbf_1 \\
\mathbf_2
\end = \begin
-\mathbf \\
\mathbf_
\end\mathbf_2 = \mathbf\mathbf_2
が成立する。これより、Ax = 0 の解であるような任意のベクトル u は、X の列ベクトルで与えられる ''n'' − ''r'' 個の特殊解の線型結合でなければならない、ということが証明される。さらにすでに、X の列ベクトルは線型独立であることが分かっている。したがって、X の列ベクトルは A零空間の基底を形成する。すると、A退化次数は ''n'' − ''r'' である。''r'' は A の階数に等しいために、rank(A) + nullity(A) = ''n'' が成立する。QED.

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「階数・退化次数の定理」の詳細全文を読む




スポンサード リンク
翻訳と辞書 : 翻訳のためのインターネットリソース

Copyright(C) kotoba.ne.jp 1997-2016. All Rights Reserved.