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警察無線 : ミニ英和和英辞書
警察無線[けいさつむせん]
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〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。

警察 : [けいさつ]
 【名詞】 1. police 
: [さつ]
 (n) (col) police
: [む]
 【名詞】 1. nothing 2. naught 3. nought 4. nil 5. zero
無線 : [むせん]
 【名詞】 1. wireless 2. radio 

警察無線 : ウィキペディア日本語版
警察無線[けいさつむせん]

警察無線(けいさつむせん)とは、警察が使用する業務無線の総称であり、中波、短波から極超短波帯まで広範囲な周波数帯を使って様々な通信が行われているが、一般的には移動通信で利用される無線のことを指す。警察活動において情報伝達という重要な役割を担っており、活動現場と警察本部などとの通信を可能にしているものである。
日本の警察無線の主要なものとして、車載通信系、携帯通信系、署活系、WIDE通信システムの4種類がある。これ以外にもヘリテレ連絡波などもある。いずれも暗号化された信号をデジタル変調方式で送受しているため、第三者が聴取することは困難である。使用している周波数については、犯罪の予防等・取り締まり等に関わる無線局であることを理由に公開されていない。
== 車載通信系 ==
日本の警察無線の中の車載通信系の通信機は、パトカー白バイなどの警察車両、航空機、船舶に搭載されている他、警察署や警察本部およびその配下の各部隊に配備されている。車載通信系の通信を受信することのみが可能な受令機もある。携帯型の通信機もあり、車両から離れた場所であっても通信が可能である。最も広範囲の警察官をカバーできる通信系であり、警察活動における指揮、伝達において重要なものである。110番で入電した通報はこの通信系を通じて通信指令本部から速やかに各警察署や第一線の警察官にその対応を指令される。

あらゆる場所での事件や災害の発生の可能性に備えて、車載通信系は各都道府県内を島嶼や海上も含めくまなくカバーする必要性がある。そのため見晴らしのよい山上や高層ビルなどに設置した中継所を介したシステムとして設計されている。送信された電波は一旦、中継所で受信され別の周波数で再送信される仕組みになっているため、送信者からの遠近にかかわらず、広範囲に存在する無線局との相互の交信や他局の通信内容の傍受が可能になっている。つまり、同一チャンネルで通信している限りにおいて、他局の通信を傍受することができるため、ある局の通信内容をその他の局に伝言するよな中継の作業が不要であり通話効率が高い。また、主な地下街やトンネルやターミナル駅など電波が届かない、あるいは届きにくい場所についても中継装置を設け、活動中の警察官が通信を傍受ないしは送受ができるように整備されている。このように車載通信系は日本全域を高い覆域率でカバーする移動体通信システムである。車載系の歴史は1950年頃から始まっており移動体通信の先駆的存在である。

車載通信系は1950年(昭和25年)頃から30MHz帯(FM変調)を使って開始された。車載移動局と基地局(警察署や警察本部)の送信周波数差は概ね2MHz程度あった。移動局の出力は25W、基地局、固定局は50Wで免許を交付されていた。当時の写真には、後部バンパーに長いホイップアンテナや、警察署や警察本部屋上に設置されたスリーブやブラウン型と思われるアンテナが記録されている。昭和30年代(1955-1964)の写真からは、有人の山上中継所に30MHz帯や150MHz帯の空中線が整備されていることが確認できるが、どのような中継設計や運用がされているかは不明である。
30MHz帯の利用と平行して、1950年頃から150MHz帯の実用化試験局(車載移動局)を用いた研究が行われた。当時は真空管を用いた通信機であり実用化に至るまでには相当な時間を要した。技術の進歩により、昭和40年代(1965-1974)に都道府県単位で段階的に150MHz帯(FM変調)に移行した。150MHz帯と比較して30MHz帯はエンジンなどが発するノイズによる通信品質への影響が大きく、この移行に伴い通信品質は大幅に向上した。また、150MHz帯では山上中継所を介したシステムとなり、前述の通り広い範囲に存在する移動局間の相互通話や通信の傍受が可能となった。山上中継所は、送信する電波を広範囲に届けられる一方で、広範囲に散在する移動局の電波も好条件で受信することができる。送信出力が比較的小さく、通常ならば数百メートルから数キロ程度しか交信できない携帯型の通信機などであっても、本部などの固定局や遠く数十キロ離れた移動局とも安定した通信が行えるようになった。150MHz帯への周波数帯の変更に伴い不感地帯の影響が顕著になり、既存山上中継所の他に補助無線中継所が整備された。30MHz帯と比較して150MHz帯は直進性が強く、地形の影響を受けやすいためである。またこの時代、山間部の僻地やトンネルを通る高速道路が整備されてきたこともあり中継所の整備が強化された。
車載通信系は大ゾーン方式の移動体通信システム設計が基本的に採用されている。条件にもよるが比較的標高のある山頂からの見通しで30-50km程度をカバーする。携帯電話など小ゾーン方式が多い公衆向け通信システムと異なり、この方式は局数が限定されること、設置局数を抑えられることや簡素な設計で済むことによる設置コストや運用コストが低減できること、海上や山間部など広範囲をカバーする必要性などを勘案した上で設計されたものと推察される。ただし、一つの通信チャネルに多数の無線局が開局するため通話が一時的に輻輳することがある。また、時代の変遷に伴い通話量が増加する傾向がある。そのため、複数の通信チャネルを設定しておき、目的に応じて切り替えて利用している。車載通信系は地域ごとに分割した複数の方面系や県内系などの他に、警察の規模によっては交通や捜査などの専門の周波数が割り当てられている。また多府県にまたがる広域共通の周波数や高速道路専用の周波数も割り当てられている。さらに、災害時の増波に備えて臨時使用の周波数も周波数割り当て計画に盛り込まれている。
この時代、車載通信系はその周波数帯と変調方式が一般的なものであり傍受が容易であることから長らく傍受の対象とされてきた。そのため、通信はそのことを前提として行わざるを得ず、機密事項やプライバシーに関わる内容については有線電話(携帯電話など公衆無線通信は当時なかった)を併用した。また、音声を周波数処理して送信する方法などもとられたが、抜本的な対策とはならなかった。昭和50年代(1975-1984)に入るとデジタル技術の移動体音声通信への応用に向けた研究が進み、昭和58年(1983)から順次、デジタル化された車載通信系の導入が開始された。車載通信系は大規模かつ24時間365日稼働するシステムであることから、既存システムとを併用しながら機器の入れ替えを進め、完全に移行するには5年以上を要した。開発期間中から導入時期頃にかけては車載通信系への妨害事件が多発した他、グリコ・森永事件で被疑者が警察無線を受信した証拠物件が発見され、警察の動向を把握しながら犯行を行っていることが明らかになるなどしたため、開発、導入が進んだとされる。デジタル化に伴い音声以外のデータ通信にも車載通信系が利用された。マイクロ多重回線を活用したモニター機能もこの時代に整備され、遠隔地で行われる通信を管区警察局や警察庁でモニターできるようになった。

1998年、革マル派アジトで車載通信系を録音したテープや受信装置が押収されたことから、革マル派がデジタル無線の復号に成功していたことが明らかになった。また、無線雑誌ラジオライフの読者も、革マル派とは異なる独自の回路とソフトウェアを使い復調と復号に成功していた。一般的に暗号強度は、コンピューターの処理能力の増大に伴い、脆弱性を増す。機器全般の老朽化も進んでいたことから新たな車載通信系システムの開発が進められ、2003年、従来のデジタル警察無線形式(MPR)に代わり新型であるAPR(Advanced Police Radio)へと移行した。APRの特長は以下の通り。
*データ通信の通信スロットが音声スロットから独立しているためデータ通信が音声通話を阻害しない。
*複数中継所から同一周波数で同期された同時送信を行っており、MPRシステムで問題となった干渉問題が大幅に軽減されている。その結果、不感地帯が減少させることができる。また、これまで干渉問題で利用できなかった中継所を活用できるようになったことも不感地帯減少に寄与している。
*暗号強度の強化
*隣接する都道府県の通信系との接続性向上
*パトカーに搭載した車載通信機を一時的に中継モードにすることで、他の移動体と中継所との間を中継することができる。不感地帯で事件、事故が発生した場合に機動的に対応することができる。
2011年3月11日に発生した東日本大震災においては、山上無線中継所を介した車載系は大きな力を発揮した。有線・無線の一般電話網は、地震発生直後から津波や地震の被害により、大きく損なわれた。被害を受けなかった通信網も、通話の輻輳や通信統制によりその利用が大きく制限された。その一方で、山上無線中継所は非常用発動発電機を備えており、商用電源の停電による即時機能停止を免れた。また津波の被害を受けなかったこともあり、発動発電機の燃料を補給することで継続的かつ安定的に車載系無線の中継機能を提供することができた。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「警察無線」の詳細全文を読む




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