翻訳と辞書
Words near each other
・ 液体シンチレーション計数器
・ 液体シール
・ 液体ジェット加工
・ 液体ハミガキ
・ 液体ヘリウム
・ 液体ロケット
・ 液体ロケットブースター
・ 液体乳剤法
・ 液体人間
・ 液体保持回復
液体呼吸
・ 液体培地
・ 液体培養
・ 液体培養液
・ 液体塩こうじ
・ 液体塩素
・ 液体変速機
・ 液体式
・ 液体式ディーゼル機関車
・ 液体式変速機


Dictionary Lists
翻訳と辞書 辞書検索 [ 開発暫定版 ]
スポンサード リンク

液体呼吸 : ミニ英和和英辞書
液体呼吸[えきたいこきゅう]
=====================================
〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。

: [えき]
  1. (n,n-suf) liquid 2. fluid 
液体 : [えきたい]
 【名詞】 1. liquid 2. fluid 
呼吸 : [こきゅう]
  1.breath 2. respiration 3. knack 4. trick 5. secret (of doing something)

液体呼吸 : ウィキペディア日本語版
液体呼吸[えきたいこきゅう]
液体呼吸(えきたいこきゅう、liquid breathing または liquid ventilation)は呼吸の一形態である。通常空気中で呼吸する生物が空気ではなく酸素を多く含む液体(普通はパーフルオロカーボン類)中で行う呼吸を指す。医療行為に用いられ、将来は深海への潜水宇宙旅行にも応用できる可能性があるとされる。「流体呼吸 (fluid breathing)」と呼ばれることもあるが、流体は液体と気体の両方を指すため、同じ意味としてこの語を用いるのは不適切である。
==初期の実験==
1960年代半ば、ニューヨーク州立大学バッファロー校の生理学者キルストラ (J. Kylstra) は、食塩水には高圧下で酸素を多く溶かしこめることを見出した。アメリカ海軍の予圧室で、キルストラはマウス生理食塩水を肺から出し入れできるか、また生存するのに十分な量の酸素を食塩水から取り込むことができるかを試す実験を行った。結果としてマウスやラットは液体中で呼吸することができたが(18時間まで生き残った)、二酸化炭素が十分に排出できなかったためすぐに致死量に近い値に達し、二酸化炭素中毒に陥った。これは液体呼吸を人間に適用する前に解決すべき問題であった。
1966年、レランド・クラーク (Leland Clark) とゴラン (Golan) もマウスを使った液体呼吸に関する実験を行った。酸素や二酸化炭素はフロンなどのフルオロカーボン類に非常に溶けやすい。レランド・クラークは、もし肺胞がフルオロカーボン中から酸素を取り込み二酸化炭素を排出することができるなら、動物が呼吸する際に使えるはずだと考えた。実験はまず麻酔したマウスで行われ、その後数種の動物で行われた。気道に管を差し込んで入り口の部分を膨らませて密着させ(=気管挿管)、外気が肺に入らないように、また呼吸用の液体が漏れ出ないようにした〔Clark, L. C., Jr.; Gollan, F. (1966). "Survival of Mammals Breathing Organic Liquids Equilibrated with Oxygen at Atmospheric Pressure". ''Science'' 152: 1755–1756. アブストラクト DOI: 10.1126/science.152.3730.1755 PMID 5938414〕。
フルオロカーボンに酸素を通気し溶かしてから実験動物の肺に入れ、毎分6回の周期で吸入と吐出を繰り返した。これを最長1時間続けてから液体を除去したところ、ほとんどの動物は数週間生き残り、その後肺への損傷のため死亡した。死骸の解剖結果は肺が収縮した際に充血が起こるが膨らんでいる際には正常であったことを一様に示していた。
キルストラの研究と同じく、クラークの場合でも動物の気道の広さが問題であった。気道が狭いと肺に入っていくことができる液体の量が制限される。このことなどが原因となって二酸化炭素が肺にたまり、十分な速さで除去されなくなっていた。クラークは、マウスがフルオロカーボン中で生き延びることができる時間はフルオロカーボンの温度に反比例することを発見した。すなわち、液体が冷たいほど呼吸も遅くなり、二酸化炭素の蓄積が避けられる。二酸化炭素中毒を回避する唯一の方法は低体温状態にすることであった。この方法によって問題はほとんど解決し、1つの例では 18 ℃ において20時間、液体呼吸で生き続けた。
初期の実験では全ての動物が肺に損傷を受けていた。しかし、これがフルオロカーボン中に含まれた毒性の不純物によるものなのか、フルオロカーボンそのものの影響か、またはそれ以外の原因によるものかは定かではなかった。肺への損傷の原因、二酸化炭素排出の問題、フルオロカーボンの体組織への残留が人体へ適用する前に解決すべき点であった。また、パーフルオロカーボンは空気よりも密度粘度が高いため抗力も大きくなり、呼吸するのにより多くの労力が必要とされる。以下にフルオロカーボン類の物性を示す。パーフルオロブチルパーフルオロテトラヒドロフランは商品名 フロリナートFC-75 や FC-80 として、参考文献 (Miyamoto, Koen, Matthews) に挙げた各種の実験に用いられている。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「液体呼吸」の詳細全文を読む




スポンサード リンク
翻訳と辞書 : 翻訳のためのインターネットリソース

Copyright(C) kotoba.ne.jp 1997-2016. All Rights Reserved.