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先天盲からの回復 : ミニ英和和英辞書
先天盲からの回復[せんてん]
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〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。

: [せん]
  1. (n,adj-no) the future 2. priority 3. precedence 4. former 5. previous 6. old 7. late
先天 : [せんてん]
 【名詞】 1. inherent 2. innate
: [てん]
 【名詞】 1. heaven 2. sky 
: [めしい]
 【名詞】 1. blindness 2. blind man 3. ignorance 4. ignoramus
: [かい]
 【名詞】 1. counter for occurrences 
回復 : [かいふく]
  1. (n,vs) recovery (from illness) 2. improvement 3. rehabilitation 4. restoration 

先天盲からの回復 : ウィキペディア日本語版
先天盲からの回復[せんてん]
先天盲からの回復(せんてんもうからのかいふく、Recovery from blindness)は、先天的または早期の障害により視覚経験の記憶をもたず生育した人が、外科手術などの方法で視力を得た後の視覚回復過程を指す。17世紀後半にモリヌークス問題という知覚・認識と経験に関する問いを当時の高名な哲学者たちが論じたことで先天盲からの視覚回復に関心が集まった。その後、眼科医による先天盲開眼者の症例報告が増えていくにつれ、17~18世紀の認識論の哲学的思考実験から実証的・経験科学的な認知論に展開し、メタアナリシス的手法や術前術後の実験心理学的な観察報告・リハビリ実践の中で研究が重ねられ、さらに人工臓器(眼)やブレイン・マシン・インタフェースといった分野での視知覚回復の研究も拡がっている〔1.埋め込み式マイクロポンプ(フラウンホーファ研究所)(Miniature pump regulates internal ocular pressure 2.生合成された人工角膜移植手術の記事(2010年8月26日) (日本語の紹介記事 ) 3. 閲覧2015年9月18日〕。
==開眼術の歴史==
;-古代~近代-
先天盲(誕生時から、あるいは乳幼児の頃に失明して、ものを見た記憶がないか、失われた状態) 2015年9月2日閲覧〕の中で、白内障に関しては古代から外科的治療の行われていたことが知られている。古代インドの医学アーユルヴェーダでは、水晶体を切開して中の白濁した粘液を外に流出させる方法をとっていた〔「外科医は適度の気温の朝,明るい場所で,膝の高さのベンチに腰掛け,自分より低い位地(
*ママ)
に固定して座らされ,入浴と食事をすませた患者に向き合う。患者の目を息で温め,親指で摩擦し,瞳孔(レンズ)が濁っているのを確かめた後,乱切刀(シャラーカ)を示指,中指,母指でしっかりと保持し,一方,患者に自分の鼻を見させ,頭を固定させる。黒目から1/2横指,外眼角から1/4横指のところで自然の孔隙(ひとみ)に乱切刀を挿入し上向きにあちこちへ動かす。左目の時は右手で,右目の時は左手で刺す。もし,正しく刺せばそこで音がし,痛みのないままに水滴が流出する。一方では患者を励まし,眼を人乳で潤し,痛みを起こさせぬように刃で眼球を掻爬する。それから眼球のなかの粘液をゆっくりと鼻の方へ押し出す,この時患者は鼻の方向にそれを引き寄せるようにしなければならない。病巣(ドーシャ)が固定的であっても,流動的であっても,外から眼に罨法 を施す。もし患者が(示された)物を識別できれば,外科医はゆっくり乱切刀を抜き取り,患部に油をヒダした綿を当て,目を動かさないようにして患者を寝かせる」(古代インド外科医ヴァーグバタ記述)〕。ローマ帝国には白内障手術の専業者もいた。
古代アーユルヴェーダで行われていた白濁粘液流出法は西洋には伝播しておらず、ジョン・ロックがモリヌークス問題を提出した当時の西洋医学は、眼の両端から針を差し込んで濁った水晶体を眼球奥下に堕とす墜下法が伝統的に安定した術式として行われていた。モリヌークス問題が知覚・認識と経験との関連を問う思考実験として盛んに論じられた18世紀中頃、フランスで水晶体内部の白濁部分のみを外に流出させる方法が術式として登場し、19世紀に入ると主流となった。19世紀半ばにヘルムホルツが検眼鏡を開発(1851年)、眼病の構造的解明に寄与し、近代眼科学最高の眼科医と言われるウィーンの〔板橋瑞夫「人名を冠した雑誌の話(4) Albrecht von Graefe をめぐって」医学図書館38(3)、 199年。pp.312-323 〕が白内障線状摘出術のほかに緑内障に関する虹彩切除術の開発などを行った〔1.ズートホフ『図説医学史』酒井シヅ,三浦尤三(ゆうぞう)共訳、朝倉書店、1991年(第5版).p.330 2.〕。これにより白内障以外の開眼手術の道が開いた。

外科手術において痛みの問題は患者にとって(手術を安全確実に進めるためには医師にとっても)大きな障害である。古代インド医学では「患者を励まし,眼を人乳で潤し,痛みを起こさせぬように刃で眼球を掻爬する」とあるがこの文面からは、人乳になんらかの鎮痛効果を認めて使用したという意味なのかどうか判然としない。伝統的なギリシア医療(アスクレピオス神殿医学)ではネベンテという薬によって無痛手術を行い、ヒッポクラテス一派やローマ時代の医師は麻薬(阿片ヒヨスマンダラゲなど)を使ったといわれる〔<麻酔の歴史>浜松医科大学・麻酔・蘇生学講座 〕。
近代医学で発見されたエーテルクロロホルムは当時安全性に問題があり効き目が現れるまでに時間がかかるので、短時間で手術が済む眼科領域ではほとんど使われなかったが、1884年ウィーンの眼科医が、コカインを使った眼の表面麻酔を発見した〔2%の水溶液にして使った。ちなみに新大陸で発見されたコカインの研究を熱心にしていたのはフロイドである。〕。

同じ1884年に(アルブレヒト・フォン・グレーフェのいとこ)が、あまりうまくいっていなかったジョゼフ・リスターフェノール消毒に代わってアルコールを器械消毒に使い、かつ眼の周囲の皮膚や結膜内部を昇汞水でよく洗って消毒すると化膿が少ないことを発表した。1884年の眼科手術での麻酔・消毒に関する2大発見により白内障手術の成績は飛躍的に向上した。
;-近現代~現代-
白内障: 眼内レンズができるまで白内障の手術は、水晶体内の白濁化が進んで硬くなってはじめて手術で取り出すのが基本だった。柔らかいと取り残しが生じるからである。取り出した後は厚みを失った水晶体を補うため度の強いメガネが必須であった〔白内障の手術の歴史(現代)大久保裕史 〕。

レンズの高度な製法技術はすでに存在していたが、それを眼球内部に入れても支障のないことをイギリスのが発見し、風防ガラスと同じ素材(ポリメチルメタクリレート:PMMA)を使って1949年に初の眼内レンズ手術を行った(眼内レンズ#歴史参照)〔偶然ある空軍パイロットの眼球に戦闘機の風防ガラスの破片が刺さったとき、長期間その状態のままでも炎症が起きないことがわかったことでリドリーは眼内レンズを発想した。日本医療器機産業連合会スペシャルコンテンツ「私たちの暮らしと医療器機」第16回page1 白内障になっても再び見えるように-眼内レンズ(2010年6月16日)] ,鈴木久晴「目の成人病 白内障 Part.3」4,手術(眼内レンズ)。(学校法人日本医科大学グループ) ,宮本武「眼内レンズ 人工臓器-最近の進歩 、"人工臓器"39巻3号、2010年] 以上すべて閲覧2015-9-4.〕。

白内障を超音波で粉砕し吸い取る器機はアメリカの医師が1965年に初めて臨床で使い、共同開発した技術者アントン・バンコ(Anton Banko〔1.ワイリーオンラインライブラリAnton Banko, the Slovenian inventor behind the success of Charles Kelman
2.FORGOTTEN GIANT(Euro Times 2013) 閲覧どちらも2015-9-4〕)とともに1967年に特許を取得した〔1.手術器具用の改良された注射針先端(ekouhou.net) 眼の外科手術における流体による洗浄と流体の吸引を制御する装置
2. Surgical Design社HP 閲覧どちらも2015-9-4〕。術式としては、ケルマンの元で学んだカナダのの水晶体の核を十文字の溝で4分割し順に乳化吸引する「ディバイド・アンド・コンカー」法を1984年頃開発し〔ナオルコム<白内障> (2015年9月4日閲覧)、:en:Howard Gimbel( 03:36, 26 August 2015‎ )〕、日本の赤星隆幸は1998年にプレチョップ(特殊なピンセット)と超音波を併用して溝を掘らずに水晶体(フェイコ)を細かく砕いて吸引する「フェイコ・プレチョップ法」(単に「プレチョップ法」ともいう)を発表してハワード・ギンベルから「赤星の術法のほうがいい」とカナダに招聘され公開手術を行った〔,白内障相談ドットコム<赤星隆幸(あかほしたかゆき)医師> 白内障手術の権威・赤星隆幸(4)術式が広がらない理由(産経ニュース 2015.1.15 07:26) 閲覧全て2015-9-4〕。
最近はレーザーを使った手術も行われている〔 フェトムセカンドレーザー白内障手術(東京歯科大学水道橋病院眼科) ,フェムト秒(セカンド)レーザーを用いた白内障手術(多根記念眼科病院) ,フェムトセカンドレーザーとは?(北里大学眼科)  _閲覧全て2015-9-4〕。
また、眼内レンズのかわりに柔軟性のあるシリコンポリマーを注入して水晶体を人工的に再生する手技の研究も行われている〔チャールズ・ケルマン賞受賞 "西眼科だより第9巻2号"  閲覧2015年9月4日〕。
緑内障: 1884年のアルフレッド・グレーフェによる虹彩切除術を基本的には踏襲しつつ改良と発展が続けられている〔日本医事新報No.4729(2014年12月13日発行)><学術特集>緑内障を知る:緑内障手術に関する新たな話題 閲覧2015年9月4日〕。
角膜移植: 1928年に当時ソビエト連邦のフィラトフ(ru)が死者からの角膜移植について報告し、以後世界各地でアイバンクが設立された〔長谷川唯、植村要「角膜移植(corneal transplantation)」 白矢勝一「角膜移植など」(床談話会、東京医大講堂)  閲覧2015年9月4日〕。
;-今後-

*人工角膜は研究が進み治験も行われているが〔生合成された人工角膜が10人の被験者に移植され、6人で視力に改善が見られる(2010年) (出典元(英語 Popular science(2010-8-26) ) 閲覧2015年9月4日〕、一般的な臨床応用段階には至っていない〔(2015年9月現在)>目と健康シリーズNo.18 島崎潤 <人工角膜・角膜再生の可能性>(2012年3月) 閲覧2015年9月4日〕。
*遺伝子治療、薬剤による進行遅延・阻止、人工臓器(角膜、網膜、眼内レンズなど)、角膜再生(再生医療)、などが研究・治験などそれぞれのレベルで今後の進展を期待されている。〔ボクらのNEWS (JPRS大阪支部、2015年7月31日) 閲覧2015-9-24〕

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「先天盲からの回復」の詳細全文を読む




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