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メロトロン : ミニ英和和英辞書
メロトロン
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〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。


メロトロン : ウィキペディア日本語版
メロトロン

メロトロン(Mellotron)は、1960年代に開発された、アナログ再生式(磁気テープを媒体とする)のサンプル音声再生楽器である。アメリカハリー・チェンバリンが作成したチェンバリン(Chamberlin)を元に、イギリスのレスリー・フランク・ノーマンのブラッドレィ3兄弟が、設計と作成を行った。
== 概要 ==
ハリー・チェンバリンが開発した"Chamberlin Rhythmate"という、テープ音源を用いたリズム/伴奏用のマシン(いわばホームオルガン用のカラオケマシン)が先祖である。彼自身がこれを応用したテープ音源のオルガンを製作したことからメロトロンの歴史は始まる。鍵盤に対応した音程でそれぞれ録音された、ある音声音色)を一式揃えておけば、音階を持った楽器として使用できる。これにより鍵盤楽器演奏者により、弦楽器管楽器などの音を奏でることを可能とした。また、一定の伴奏パターンや効果音が録音されたテープもあり、メロトロンの原案となったモデルでは(当然、そのコピーである初期のメロトロンでも)左手側の鍵盤に使用された。チェンバリンの会社ではこの楽器を大量生産するのは難しく、製造を依頼する目的でイギリスに持ち込まれ、目をつけたのが楽器用の再生ヘッドを発注されたブラッドレィ兄弟であった。
メロトロンは、1963年にブラッドレィ兄弟により設立された「ストリートリー・エレクトロニクス(Streetly Electronics)」社でチェンバリンの楽器を(無許可で)模倣・改良する形で製作され、「リヴィングルームに設置して一人または二人で気軽に演奏する、家庭用のオルガン」として販売された(販売はロンドンに本拠を置く「メロトロニクス(Mellotronics)」社)。ほどなく若干のマイナーチェンジを経て、ムーディー・ブルース、ビートルズ、キング・クリムゾンらが使用し、伝説を作った「MkII」となる。このモデルは1本のテープにつき3トラック×6ステーション(カセットテープの「頭出し」の要領で各ステーションに停止したテープは、そこから音色の再生を始める)の18音色を収録。左手および右手用として35鍵の鍵盤が2セット、並列に設けられたものである(左手用鍵盤には、前述の伴奏パターンを収録したテープがインストールされている)。一部アーティストによりステージでも使用されたものの、この楽器はあまりにも大きく繊細かつ高価であった。鍵盤を1セットにまとめた「M300」を経て、よりコンパクトなヴァリエーション「M400」が1970年に発表された。前述したステーション構造を廃し、鍵盤も1セットとした。選べる音色が18音色から3音色に減少したのを補うため、35本のテープを一度に交換できる「テープフレーム構造」を採用。MkIIと比べて軽量・コンパクトかつ耐久性のある(メカニズムの簡略化による)楽器となり、その白い外観も相まって認知度は一挙に高まる。ロックやジャズの領域拡大とともにメロトロンを録音やライヴで使用するアーティストは増えていき、観客はステージで奇妙な音を出す白い楽器を頻繁に見かけるようになる。
イギリスのミュージシャン・ユニオンは1967年、「メロトロンを使用することでヴァイオリンなどの演奏者を必要としなくなり、仕事を奪うものである」「音作りに協力したミュージシャンは、その音が他人に使われても全く収入にならない」という声明を出した。後者の訴えはBBCでも問題になり、メロトロニクス社は協力したミュージシャンに補償金を支払っている。
しかし実際にはその特徴的な音は生の管・弦楽器などを代替することはなく、早い内から実際の楽器音とは区別して使われるようになる。例えばレッド・ツェッペリンの「カシミール」などの曲では両者が併用され、それぞれの魅力が共存している。
原案者であるハリー・チェンバリンとブラッドレィ兄弟は特許および知的所有権で争っていたが、結果的に1966年、チェンバリンがブラッドレィ兄弟に権利を3万ドルで売り渡すこととなる。チェンバリンも1970年以降、自らの会社でテープ再生式の楽器を開発、販売した。もっとも普及した「M-1」はメロトロンよりコンパクトなボディと、よりハイファイなサウンドを持つ。マーヴィン・ゲイエルヴィス・コステロなど、こちらもメロトロンほどではないにせよ広く用いられた。
機構上の欠点として「モーターが非力なため、複数の鍵盤を同時に押さえると音程が下がる」「頻繁に再生・巻き戻しをさせられるテープが傷みやすい」「モーターの回転速度が電圧の影響を受けやすく、音程がフラつく」「複雑なメカニズムを内蔵しているため大きく重く、壊れやすい」「再生ヘッドの品質が悪く、出力された音は蓄音機のように劣化する」などが挙げられる。もっとも、現在ではこれらの特徴は殆どが「味」として再評価され、ノスタルジックかつサイケデリックな音色に魅せられる人はプレイヤー、リスナー問わず後を絶たない。
1970年代中盤にはポリフォニックシンセサイザーストリングアンサンブルが普及したため、問題を多く抱えるメロトロンのユーザーは次第に減少。経営が悪化したストリートリー・エレクトロニクス1977年、メロトロンの商標権をダラス・ミュージック・インダストリーへ売却する。その後、メロトロンの名称が使えなくなったストリートリー・エレクトロニクスは「ノヴァトロン(Novatron)」の名称で楽器の開発・販売を続けるが、1986年に倒産した。一方メロトロンの商標権はいくつかの業者の手をわたり、現在はメロトロン・アーカイヴス(Mellotron Archives)社を設立したデヴィッド・キーンが保有している。
1970年代後半になって、RMIや360 systemsといったメーカーからデジタル技術で録音された楽器音を演奏する楽器が登場。PCM音源の発達に伴い、1980年代にはフェアライトCMIシンクラビアなどの楽器がサンプリング機能を有し、音楽制作の現場で人気を博す。いつしかこの類の楽器はサンプラー(サンプリング・シンセサイザー)と呼ばれるようになった。先祖であるメロトロンの音も初期からサンプリングの対象になったが、代替品として使えるレヴェルになるのは1993年イーミュー社からプリセットサンプラー・モジュール「Vintage Keys」が発売されるのを待つこととなる。折からのヴィンテージ・キーボード・ブームも手伝い、この楽器はメロトロンのサウンド目当てのユーザーから高く評価された。メロトロンのサウンドは常に一定のニーズがあるため、いくつかのメーカーは、よりリアルなサンプルを提供するよう努力している。
なお、現在でもメロトロンは販売されている。カナダでメロトロンの商標を持っているメロトロン・アーカイヴス社は、モデル400シリーズの新型「MkVI」などを発売している。レスリー・ブラッドレィの息子らによって再建されたストリートリー・エレクトロニクスでもレストアされた旧型メロトロンを販売している。同社は2007年、M400と似た筐体の中にMkIIと同様のステーション構造をもつ新型メロトロン「M4000」を発表した。音源テープは、この2つの会社それぞれが新規で録音された物も含めて取り扱っている。
プログレッシヴ・ロックファンからはハモンドモーグと並び3大キーボードと呼ばれることもある。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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