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ダキア : ウィキペディア日本語版
ダキア

ダキア(ラテン語:Dacia)は、古代中央ヨーロッパの一地域で、ダキア人ゲタエ人が居住していた地域を指す。ほぼ現在のルーマニアの国土(より正確には「大ルーマニア」と呼ばれた時代の国土)にあたり、東はティサ川、西はハンガリー、南はドナウ川、北はカルパチア山脈の森林地帯までの地域となる。ルーマニアでは同様の表記で「ダチア」と読む。
== 概要 ==
ダキア人は、インド・ヨーロッパ語族に属する言語を話していた民族で、トラキア人の一派に属する。古代ギリシア人にはゲタエ人の名で、古代ローマ人にはダキア人の名で知られていた。通常トラキア人というと、ドナウ南方に居住していたトラキア・ダキア族のうち、南方に居住していた一派を指し、一方ダキア人とは、北方に居住していた一派を指す。両派ともに、紀元前1000年頃に同地域に移住してきたと考えられている。ゲタエ人に関しては、トラキア人の一部族に過ぎないとする説もある。古代ギリシアの史家たちによれば、当時のトラキア人の中には、異なる起源や文化を保有している多数の部族があったとされている。ダキア人とトラキア人の相関関係については、歴史学会の中でも活発な論争が為されており、未だ定説と呼べるものはない。
ダキア人という呼び名は、バナト地方およびトランシルバニア地方に居住していた人々に対するもので、ムンテニア地方およびドブロジャ地方の居住者はゲタエ人、モルドバ地方の居住者はカルピ人と呼ばれた。
ヘロドトスの『歴史』(第4巻)には、スキティア人に関する記述が見られる。スキティア人は、インド・ヨーロッパ語族に属する言語を話していた民族で、紀元前1世紀には、現在の黒海北部を中心に力を振るっていた。その中で「スキティア王族」と呼ばれる一派が、紀元前800年頃に黒海北西部および西部に定住した。東カルパチア山脈西部には、スキティア人と言語的に相関性のある一部族が住んだ。ヘロドトスはまた、ゲタエ人にも言及しており(「ゲタイ」の名で登場している)、ドナウ南部に居住するトラキア系の一部族で、紀元前500年頃にアケメネス朝ペルシアのダレイオス1世に敗れ、紀元前350年以降にはマケドニアの軍事的圧力下でドナウ北部に移住し、そこで原住民と混ざり一つの民族を形成するに至った、としている。この頃から、ドナウ北部に居住する民族を、古代ローマ人は「ダキア・ゲタエ人」と呼び、古代ギリシア人は「ゲタエ・ダキア人」と呼ぶようになった。
紀元前2世紀になると、サルマタエ人の一派であるロクソラニ族ヤジグ族が、東方の他部族の侵入から逃れてドナウ沿岸地域に移住してきた。サルマタエ人は、黒海北東部を起源とするスキティア人の一派である。ヤジグ族は古代ローマでは「ヤシ(Iasi)」、プトレマイオス朝エジプトでは「ヤシウス(Jassius)」と呼ばれていた部族で、ダキア北東部に居住していたが、紀元後20年以降カルパチア山脈を越え、ティサ川とドナウ川の間に広がるパンノニア平原に到達したとされる。現在のハンガリーにあるダルヴァール(Daruvár)では、''municipium Iasorum'' および ''res publica Iasorum'' という言葉が刻まれた碑文が発見されている。その他ルーマニアのグラディシュテ(Grădişte)などで発見された古代ローマ時代の碑文から、このヤシ族(ヤジグ族)が現在のモルドバおよびトランシルバニア地方で勢力を持っていたことが判っている。当時サルマタエ人とゲタエ・ダキア人が混同されていたことは明らかで、ダキアが古代ローマ帝国属州となってから置かれた首都(ウルピア・トラヤーナ)サルミゼゲトゥサ・レジア(Ulpia Traiana Sarmizegetusa Regia)は、恐らくラテン語の「Sarmis-et-Getus-a-Regia」、つまり「サルマタエ人とゲタエ人の都」という言葉に由来していると考えられる。しかし、「サルミゼゲトゥサ」は「丘に囲まれた町」を意味するダキア語に由来する、という説もあり、どちらが正しいか判断するには、今後のダキア語研究の成果を待つしかない。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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