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36・10 ( リダイレクト:サンロクトオ ) : ウィキペディア日本語版
サンロクトオ

サンロクトオ(3・6・10)とは、日本国有鉄道(国鉄)が昭和36年(1961年10月1日に実施した白紙ダイヤ改正を指す、おもに鉄道関係者・鉄道ファンの間で使われる通称である。
昭和43年(1968年)10月1日に実施されたダイヤ改正(通称「ヨンサントオ」)と並ぶ大規模な全国ダイヤ改正であり、全国的に「特急列車網」が形成されたダイヤ改正として特筆されるものである。このとき、初めて「白紙改正」という言葉が使われた〔。
== ダイヤ改正の背景 ==
国鉄では1956年(昭和31年)11月19日東海道本線の全線電化完成に伴うダイヤ改正を実施し、東京 - 九州間直通特急「あさかぜ」を登場させるなどの積極策に乗り出すことで、1945年(昭和20年)の終戦からの復興をようやく終わらせようとしていた。同年7月発表の経済白書は「もはや戦後ではない」という有名なフレーズで、日本の復興に伴う経済成長が終焉し、次段階の新たな経済成長期に入ったことを示唆した。
この高度経済成長初期の時代、大都市においては通勤路線の殺人的混雑が問題となり、また中長距離輸送でも、旅客・貨物ともに好況に押され急激に輸送量が増加しつつあった。国鉄は1955年(昭和30年)に総裁に就任した十河信二のもと、それらの課題に対する速やかな対策の実施を強いられたのであった。
1957年(昭和32年)4月に国鉄は老朽資産を取り替えるべく「第一次5ヶ年計画」を開始した。同年6月、旧来の吊り掛け駆動方式を廃し、カルダン駆動方式等多数の新機構を採用した通勤形電車モハ90系電車(のちの101系電車・初の新性能電車)が登場、そして9月には日本初の鉄道交流電化仙山線仙台 - 作並間で試験開始された。
1958年(昭和33年)には、特急形電車20系電車(のちの151系電車)と急行形電車(当時は準急形電車)91系電車(のちの153系電車)が相次いで登場し、それぞれ特急「こだま」・準急「東海」で運行を開始した。これら居住性に優れた電車の出現で、従来「乗り心地が悪く、長距離の優等列車には適さない」と見られていた電車が、優等列車に就く時代が到来した。また同年、のちにブルートレインと呼ばれた20系客車が開発され、特急「あさかぜ」に就役して寝台列車の近代化が図られるなど、新形式の登場や技術の革新が相次いだ。
国鉄はこの他にも、動力の近代化・電化の促進・車両の新造による輸送力強化を急速に推し進めた。また1959年(昭和34年)4月には、東海道本線の輸送力が飽和状態を来しつつある状況を解消すると同時に、世界最高水準の高速鉄道による都市間輸送を実現させるため、東海道新幹線が起工されている。
これら「第一次5ヶ年計画」のまとめとして実施されたのが「サンロクトオ」ダイヤ改正である。この改正が行われる1961年(昭和36年)度からは、東海道新幹線の建設や主要幹線の電化・複線化、車両の近代化を図る「第二次5ヶ年計画」が「第一次5ヶ年計画」に替わってスタートした。
しかし、急増する需要に対し、設備面・人員面・財源面での対応が追いつかず(東北本線でさえ、単線区間が残っていた)、しかも、東海道新幹線の建設により、在来線の輸送力増強投資は大幅にカットされることとなった。そのため、主要幹線の線路容量は限界に達し、優等列車の増発のために、普通列車や普通貨物列車の削減が行われた線区もあった。
特に貨物輸送については、駅での滞貨が数万トン規模で発生するなど、明らかに輸送力が不足する事態となっており、しかも、旅客列車の増発や、直行輸送主体の貨物輸送とするため、短距離の貨物輸送を自動車に転嫁することも行われた。
また、設備の物理的限界を超えた列車の運行により、列車の遅延や事故が多発する結果となった。これは三河島事故鶴見事故の遠因にもなっている。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「サンロクトオ」の詳細全文を読む




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