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殯の森 : ウィキペディア日本語版
殯の森[もがり の もり]

殯の森』(もがり の もり)は、映画監督河瀬直美が暮らす奈良を舞台に、家族を失った二人の登場人物、認知症老人と女性介護士のふれあいを通して人間の生と死を描いた劇映画第60回カンヌ国際映画祭の最高賞パルム・ドールに次ぐ、審査員特別大賞「グランプリ」を受賞した〔Festival de Cannes: ''Mogari no Mori (La Forêt de Mogari)'' (フランス語。カンヌ国際映画祭公式サイト)〕。
== 概要 ==
(もがり)は日本の古代に行なわれていた葬儀儀礼で、死者を本葬するまでの期間、に遺体を仮に納めて安置し、別れを惜しむこと、またその棺を安置する場所を指す〔渡辺真起子ブログcommunication maniac: 「殯の森」(2006年7月14日)〕。「喪(も)上がり」から生まれたことばだとされ、類義語に荒城(あらき)がある。河瀬監督は物心がついたころ、亡くなった知り合いが動かなくなったことを不思議に思い、その後の経験を通して本作を構想し、生き残った者と死者との「結び目のようなあわい(間・関係)を描く物語」を目指したという〔『殯の森』公式サイト: 「はじめに」〕。
北野武是枝裕和ら映画監督の作品を手がけたプロデューサーのエンガメ・パナヒに脚本を持参して子連れで渡仏、直接面談の出資交渉の席で「あなたと組みたい」と口説いたという〔電子版『朝日新聞』: 「『映画、それは人生に似ている』河瀬監督、独自の世界観」(2007年5月28日)〕。パナヒは、ローラン・グナシア(アニエス・ベーのカルチャー・コミュニケーション・アドバイザーを経て、会社「ラボワット」を経営しているアート・ディレクター。2007年2月26日に寺島しのぶと結婚)を通じ、フランスの映画会社セルロイド・ドリームに紹介された〔Yahoo!映画 - ニュース: 「河瀬直美監督がグランプリ!日本人17年ぶり快挙…カンヌ国際映画祭」(2007年5月29日)〕〔電子版『スポーツ報知』 - 芸能: 「河瀬監督を寺島しのぶ夫が支援…カンヌ国際映画祭」(2007年5月19日)〕。また、日本の文化庁やフランス政府からも助成を受けている〔電子版『毎日新聞』: 「カンヌ国際映画祭:『殯の森』グランプリ 河瀬直美監督『日本人として恥じぬ映画』」(2007年5月28日。東京夕刊に掲載)〕。
主演に起用されたうだしげき(宇多滋樹)は奈良市公納堂町で開店した古書店「ならまち文庫」と古書喫茶「ちちろ」の店主で〔性と生を考える会: 「ご飯もおいしい古書喫茶「ちちろ」をご紹介!」〕、地域雑誌『ぶらり奈良町』を発刊し〔『ぶらり奈良町』: 〕、文芸講座を開く文筆家。前作『沙羅双樹』で宣伝スタッフを務め、2005年に発行するミニコミ紙『組画&ならまち文庫新聞』の共同発行者であり〔『組画&ならまち文庫新聞』2005年2月1日号(PDFファイル)〕、古書喫茶「ちちろ」は河瀬が経営するアンテナショップ「組画」が間借りしている店でもある〔ならまち文庫 古書喫茶「ちちろ」〕。演技は初体験ながら、本作が俳優デビュー作となった〔電子版『読売新聞』関西版: 「監督自らの介護体験テーマに、カンヌ出品『殯の森』」(2007年5月26日)〕。築百年以上の民家をグループホームのセットに改造し、2006年7月のクランクインから同年8月にかけ〔渡辺真起子ブログcommunication maniac: 「祝!クランクイン」(2006年7月24日) 〕〔ならまち文庫 古書喫茶「ちろろ」: 「河瀬直美の新作「殯の森」で主人公を熱演した うだ しげき さん」(隔月発行 奈良・京都南部エリア情報誌・『喜楽』 Vol.7 巻頭特集「演じる」)〕、撮影は、奈良市の高原地帯で茶畑のある田原地区で地元支援団体「田原フィルムコミッション」や県立図書情報館など、地域を挙げた応援のもと合宿形式で行なわれた〔電子版『産経新聞』奈良版: 「河瀬監督カンヌ受賞 関係者『奈良への最大の貢献』」(2007年5月29日)〕〔電子版『朝日新聞』奈良版: 「快挙/河瀬監督 カンヌ準最高賞」(2007年5月29日)〕〔電子版『産経新聞』産経関西: 「住民ら偉業称え感謝 カンヌ映画祭グランプリ」(2007年5月28日)〕〔電子版『毎日新聞』: 「カンヌ映画祭:伝統的な自然観背景に死生観…G受賞作」(2007年5月28日)〕。作品の舞台となった田原地区には今も土葬が残り、地元住民がエキストラとして喪服姿で葬列するシーンが収められている。
作品には、前作『沙羅双樹』以降の河瀬の、祖母(河瀬の育ての親)の認知症の介護と、出産による子育ての経験、などにもとづく「生命の連鎖」という死生観が投影されていると指摘した報道もある〔電子版『朝日新聞』: 「カンヌ出品作「殯の森」 河瀬監督、節目の挑戦」(2007年5月24日)〕〔電子版『読売新聞』大町小町: 「カンヌ国際映画祭グランプリ受賞 河瀬直美さん」(2007年5月29日)〕。
2007年5月29日に、NHKBSハイビジョンが『ハイビジョン特集』にて同作を放映。一般公開前に放映するのは異例だが、NHKは「河瀬監督の作品であること、テーマとなっている認知症のキャンペーンを(局で)展開していたことなどから、昨年夏の時点で放送権を購入していた」と説明している〔電子版『東京新聞』: 「『殯の森』 カンヌでグランプリの河瀬直美監督 称賛の声 “映画作家”の地位確立」(2007年5月29日)〕。
日本では6月23日から奈良県下4ヶ所で「ひとコマ」フィルムの購入で応援するサポーターに対する「ひとコマもがり」参加者向けの特別試写会が開催されるほか、自らが主宰する「組画」(くみえ)の配給で渋谷の「シネマ・アンジェリカ」〔シネマ・アンジェリカ公式サイト: 〕(シブヤ・シネマ・ソサエティ)を皮切りに上映されるが、共同製作国フランスでは、パリで10月下旬から映画館10館、フランス全体でも60館の一般上映が決まっている〔電子版『スポーツ報知』 - 芸能: 「河瀬監督胸張った…コンペ部門でトリ飾った」(2007年5月27日)〕。
河瀬は次の作品で長谷川京子を主演にしたラブコメディ『世界中が私を好きだったらいいのに(仮)』の監督を務めると明かした〔電子版『サンスポ』: 「河瀬監督、次回はハセキョーで“ひと味”違うラブコメディー」(2007年5月24日)〕。しかし、諸般の事情により、コメディではない「七夜待」が製作された。
製作は組画セルロイド・ドリームズ・プロダクションズビジュアルアーツ専門学校大阪。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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