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倶舎論 : ミニ英和和英辞書
倶舎論[あびだつまくしゃろん]
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〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。

: [しゃ, せき]
  1. (n,n-suf) inn 2. hut 3. house 4. mansion
: [ろん]
 【名詞】 1. (1) argument 2. discussion 3. dispute 4. controversy 5. discourse 6. debate 7. (2) theory 8. doctrine 9. (3) essay 10. treatise 1 1. comment

倶舎論 ( リダイレクト:阿毘達磨倶舎論 ) : ウィキペディア日本語版
阿毘達磨倶舎論[あびだつまくしゃろん]

阿毘達磨倶舎論』(あびだつまくしゃろん)は、ヴァスバンドゥ(世親)を作者とするインドの仏教論書である〔日本大百科全書』(コトバンク) ">日本大百科全書』(コトバンク) 〕。4〜5世紀頃の成立〔ブリタニカ国際大百科事典』(コトバンク) ">ブリタニカ国際大百科事典』(コトバンク) 〕。サンスクリット本の題名は『アビダルマ・コーシャ・バーシャ』(: Abhidharma-kośa-bhāṣya〔Abhidharma-kośa-bhāṣyaを略してAKBh と表記することも。〕)〔岩本裕 『日本佛教語辞典』平凡社、1988年。P.205「倶舎論」〕〔単に『アビダルマ・コーシャ』(: Abhidharma-kośa)と呼称することも。〕。漢訳の際にアビダルマは「阿毘達磨」(あびだつま)、コーシャは「倶舎」(くしゃ)と音写された。
説一切有部の教義は、カーティヤーヤニープトラ(迦多衍尼子)『ジュニャーナプラスタナ・シャーストラ』(『阿毘達磨発智論』)〔玄奘による『ジュニャーナプラスタナ・シャーストラ』の漢訳は、迦多衍尼子造 玄奘譯 『阿毘達磨發智論』(『大正藏』毘曇部 Vol. 26 No.1544) 〕によって確立する〔三枝充悳 『世親』P.91 II-1『倶舎論』における思想「概説」〕。この『発智論』を注釈した論書に『マハー・ヴィバーシャー』(『大毘婆沙論』)〔玄奘による『マハー・ヴィバーシャー』の漢訳は、五百大阿羅漢造 玄奘譯 『阿毘達磨大毘婆沙論』(『大正藏』毘曇部 Vol. 27 No.1545) 〕がある。本書は『大毘婆沙論』の厖大な内容〔厖大な内容 - 玄奘訳『阿毘達磨大毘婆沙論』は全200巻。〕を巧妙に収め説明している〔『岩波仏教辞典』P.250「『倶舎論』」〕〔。説一切有部の教理の行きすぎた点を経量部の立場より批判した点に特色がある〔〔三枝充悳 『世親』P.157「著作の概観」〕。漢訳とチベット訳があり、漢訳本は真諦による『阿毘達磨倶舍釋論』22巻〔婆藪盤豆造 眞諦譯 『阿毘達磨倶舍釋論』(『大正藏』毘曇部 Vol.29 No.1559)〕と、玄奘による『阿毘達磨倶舍論』〔世親造 玄奘譯 『阿毘達磨倶舍論』(『大正藏』毘曇部 Vol.29 No.1558)〕30巻である〔。サンスクリット本と玄奘訳は『倶舎論』と略称され〔『仏教の思想 2:存在の分析〈アビダルマ〉』角川ソフィア文庫、P.20。〕、真諦訳は『倶舎釈論』と略称される〔。なお、漢訳本の正式な原題表記は『阿毘達磨倶論』・『阿毘達磨倶釋論』である〔「舎」ではなく「舍」が正式表記である。〕。
研究には玄奘訳がもちいられる〔〔小原仁 『源信』P.72 第三章 学窓の日々「倶舎をきわめる」〕。サンスクリット本が発見されてからは、漢訳に依らない原典からの研究もおこなわれている。
==概要==
ヴァスバンドゥ(世親)が作成した『アビダルマ・コーシャ・カーリカー』(: Abhidharma-kośa-kārikā)の598偈の本頌に、ヴァスバンドゥ自ら註釈(自註)を書き加えたものが『アビダルマ・コーシャ・バーシャ』(: Abhidharma-kośa-bhāṣya)で、一般に『倶舎論』という時は後者のバーシャ(長行釈)のことを指す。玄奘が漢訳する際に、『アビダルマ・コーシャ・カーリカー』を『阿毘逹磨倶舍論本頌』〔世親菩薩造 三藏法師玄奘奉詔譯 『阿毘達磨倶舍論本頌』(『大正藏』毘曇部 Vol.29 No.1560)〕と題し、『アビダルマ・コーシャ・バーシャ』を『阿毘達磨倶舍論』と題した。
アビダルマの語義については複数の解釈があるが、『阿毘逹磨倶舎論』における「阿毘達磨」 (, アビダルマ) とは、 "+" であり、それぞれ「対」と「法」と訳され、「法に関して」という意味であると自注する〔桜部建『倶舎論の研究 界・根品』(法蔵館、1969年〕。また、「倶舎」(, コーシャ)とは入れ物、蔵、宝物庫の意である。
本書はその骨格を『雑阿毘曇心論』に基づくことが古来より指摘されており〔この点については江戸時代の学僧である林常快道(1751-1810)が『阿毘逹磨倶舎論法義』において既に指摘している点である。Cf.『望月仏教辞典』p. 52〕、単なる『大毘婆沙論』の綱要書と認識するのは不適切である〔田中教照「修行道論より見た阿毘達磨論書の新古について」, 仏教研究 通号 5, 1976-03-31, 41-54〕。また、近年では『甘露味論』との関係が吟味されている〔西村実測『アビダルマ教学』〕。
本論の特徴は説一切有部の伝統的な一部の教理に対して、経量部の立場から批判が加えられている部分がある点にある。
このような世親の立場は古来においては「理長為宗」や「拠理為宗」として表現された〔木村誠司「『倶舎論』にまつわる噂の真相」『駒沢大学仏教学部研究紀要』 (71), 242-224〕。
そして世親のこれらの経部的見解は、いずれもカシミール有部の伝統的な教理解釈とは相反する内容であった。故に、伝統的な教理を尊んだ衆賢は『順正理論』を著し『倶舎論』を論駁した。
また、二十世紀になって発見された漢蔵等の翻訳が存在しなかったイーシュバラの『アビダルマディーパ』においても伝統的な有部の立場より『倶舎論』は非難されている。
近年の研究では世親の「経量部」の立場の多くは『瑜伽論』にトレースできることが指摘されている〔袴谷憲昭「Purvacarya考」『印仏研』34(2), 859-866。並びにRobert KritzerVasubandhu and the Yogācārabhūmi : Yogācāra elements in the Abhidharmakośabhāṣya(Studia philologica Buddhica, . Monograph series ; 18)International Institute for Buddhist Studies of the International College for Postgraduate Buddhist Studies, 2005〕。
しかしながら、当時より世親が唯識家として本論を著した積極的根拠は認められないことは注意が必要である〔兵藤 一夫「経量部師としてのヤショーミトラ」, 『初期仏教からアビダルマへ:桜部建博士喜寿記念論集』.2002-05-20, 315-336〕。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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