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ソマトクリニン ( リダイレクト:成長ホルモン放出ホルモン ) : ウィキペディア日本語版
成長ホルモン放出ホルモン[せいちょうほるもんほうしゅつほるもん]

成長ホルモン放出ホルモン(せいちょうホルモンほうしゅつホルモン.Growth hormone releasing hormone; GHRH,GRH)は.44個のアミノ酸残基から成るペプチドホルモンである.このホルモンは主に視床下部弓状核で作られる.また,このホルモンは成長ホルモン(GH)放出因子 (GRF,GHRF) やソマトクリニンとも呼ばれる.構造的には脳腸管ペプチドであるセクレチンファミリーに分類される.従来の視床下部ペプチドとは異なり,先端巨大症を来した異所性GHRH産生膵腫瘍より単離同定された(1982年)〔Guillemin R,et al: Growth hormone-releasing factor from a human pancreatic tumor that caused acromegaly.Science 218:585-587,1982〕.〔 Rivier J,et al: Characterization of a growth hormone-releasing factor from a human pancreatic islet tumor.Nature 300:276-278,1982.〕.
 GHRHは弓状核のニューロンで産生され,視床下部正中隆起の神経分泌神経末端から脈動的に下垂体門脈血中に放出される.瞬時にして脳下垂体前葉成長ホルモン(GH)分泌を特異的に促進する(視床下部-脳下垂体門脈循環).一方,視床下部に存在する成長ホルモン分泌抑制ホルモン(ソマトスタチン,SRIF)はその神経終末を正中隆起外層に終止し,GHRHと同様に,下垂体門脈血中に放出され,GH分泌を抑制する.したがって,下垂体からの脈動的GH分泌は相反するGHRHとSRIFの作用によって成り立つ 〔片上秀喜(2004)."成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)",ホルモンの事典,pp55-93,朝倉書店,東京〕.〔Malcolm LJ (2008): Neuroendocrinology.Williams Textbook of Endocrinology,pp114-122,Saunders,Philadelphia.〕.
 下垂体のGH産生細胞に対する作用には時間的に3種類に区別できる.1)秒・分単位:GH細胞に特異的に発現している膜レセプターRc に結合し,細胞内のcAMP濃度を上昇させ,GH分泌を促進する.2)時間・日単位:GH遺伝子の発現を促進する.3)月・年単位:GH産生細胞の増殖を促進し,造腫瘍作用を示す.齧歯類では下垂体の過形成,さらに,腺腫を生じさせる.一方,ヒトでは大多数は下垂体過形成のみを生じ,ごく稀に腺腫を形成させる.注目すべきは,GHRHの持続的刺激によるGHRHレセプターのdown regulationは生じない.
 他方,このような向下垂体作用に加え,GHRHには中枢作用として,睡眠誘発作用が報告されている.徐波睡眠のときGHRH分泌が促進されるという〔Obál F,Krueger J (2001)."The somatotropic axis and sleep.".Rev Neurol (Paris) 157 (11 Pt 2): S12-5.PMID 11924022 〕.
== GHRHとソマトスタチンの関係 ==

 GHRH分泌はSRIFによって直接的に阻害される.SRIFは中枢神経系に広汎に存在するが.そのうち,主として視床下部室周囲核と内側視索前野に局在するSRIFニューロンは正中隆起外層に神経分泌神経端末を投射する.それ以外に,視床下部のSRIFとGHRHニューロンの間にはいくつかの負の分泌調節機構が想定されている.視床下部からのGHRH分泌はSRIFによる直接的な分泌抑制以外に,下垂体からのGH(negative short feedback機構)と,GHによって産生される血中IGF-1(negative long feedback機構)によって,負の調節をうける.つまり,1)ultrashort feedback機構:視床下部内で,弓状核のGHRHはaxo-dendricあるいはdendricにGHRHニューロン自身の活動を抑制する(autofeedback機構).あるいは,GHRHが直接,SRIFニューロンを刺激する.2)short feedback機構:GHRHにより分泌されたGH,さらに,IGF-1が視床下部室周囲核のSRIF神経細胞上あるいは正中隆起外層に終止するSRIF神経終末上のSRIFレセプター()を介して,SRIF分泌を促進し,その結果,GHRH分泌を抑制する.
 他方,このような神経性調節と別に,液性の諸因子,たとえば,糖質ステロイド,甲状腺ホルモンなどにより,GHRHとSRIFの産生・分泌は影響をうける.最終的に,神経性の因子であるGHRHとSRIFと,これらの液性因子が協調して,脈動的GH分泌を形成する.

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「成長ホルモン放出ホルモン」の詳細全文を読む

英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Growth-hormone-releasing hormone 」があります。




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