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クラスター展開 : ウィキペディア日本語版
クラスター展開[くらすたーてんかい]
クラスター展開英語: cluster expansion)とは、粒子系またはスピン系の自由エネルギーを、その系を構成するクラスターの自由エネルギーから構成していく方法である。
==概要==

===一般の取り扱い===
統計力学では、分配関数を用いての性質を記述する。互いに相互作用しない ''N'' 粒子系について、系のハミルトニアン ''H''0 は、
: \big. H_0=\sum_i^N \frac,
と表され、このハミルトニアンに対応する古典系における分配関数 ''Z''0 は次の積分から計算できる。
:
\begin
Z_0 &=\frac\int \prod_k d\vec_k\;d\vec_k \exp\left\\\
&=\frac
\left(\int \prod_k d\vec_k\right)\left(\int \prod_k d\vec_k \exp\left\\right)\\
&=\frac
\left( \int dp \exp\left\\right)^\\
&=\frac\left(\sqrt \right)^.
\end

ここで、''h'' はプランク定数、''m'' は粒子の質量、''V'' は系の体積、''β'' =( ''k''B''T'' )-1逆温度、また''k''Bボルツマン定数、''T'' は熱力学温度をそれぞれ表す。最後の積分はガウス積分である。
分配関数が求まれば、ヘルムホルツの自由エネルギーを計算することができる。
:\big. F_0=-k_BT\ln Z_0.
また、ヘルムホルツの自由エネルギーから、系を記述する熱力学ポテンシャルエントロピー内部エネルギー化学ポテンシャルなど)が得られる。
このように、互いに相互作用しない自由粒子系を考える場合には、分配関数は厳密に計算でき、分配関数が分かれば系のあらゆる熱力学的性質は分配関数を元に記述される。
しかしながら、実在気体モデルなど粒子間の相互作用を考慮する場合については、分配関数の形を厳密に求めることは一般に困難であるため、相互作用を何らかの扱いやすい近似で表す必要が出てくる。
気体のように密度の小さな系では、相互作用 ''Φ'' を各粒子の間の二体間ポテンシャル ''φ''2 の和によって近似することができる。
:\big.
\Phi\left( \ \right) = \sum_^N \phi_2(|\vec_i-\vec_j|) =
\sum_^N \phi_2(r_).

ここで、r_:=|\vec_i-\vec_j| は粒子 ''i,j'' の間の距離を表す。
このときハミルトニアン ''H'' は、
: \big.
H = H_0(\) + \Phi(\) = \sum_i^N \frac + \sum_^N \phi_2(r_)
,
となる。このハミルトニアン ''H'' に対する分配関数 ''Z'' は、自由粒子系の分配関数 ''Z''0 を用いて、
:\big.
\begin
Z &= \frac\int \prod_k d\vec_k\;d\vec_k
\exp\left\\\
&= \frac
\left(\int \prod_k d\vec_k
\exp\left\\right)
\left(\int \prod_k d\vec_k
\exp\left\\right),
\end

より、
:\big. Z = Z_0 \ Q,
と表すことができる。同様に、ヘルムホルツの自由エネルギーも、
:
F=-k_BT\!\ln\left(Z_0 Q\right)
= F_0 - k_BT\!\ln\left( Q \right)
,
と書ける(''F''0 は相互作用のない場合の自由エネルギー)。
ここで ''Q'' は次の配置積分(configuration integral)を表す。
: Q=\frac\int \prod_k d\vec_k\exp\left\.

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「クラスター展開」の詳細全文を読む



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