翻訳と辞書
Words near each other
・ エルサレム地区
・ エルサレム攻囲戦
・ エルサレム攻囲戦 (1099年)
・ エルサレム攻囲戦 (70年)
・ エルサレム攻囲戦 (曖昧さ回避)
・ エルサレム攻囲戦 (紀元前63年)
・ エルサレム教会
・ エルサレム教団
・ エルサレム王
・ エルサレム王国
エルサレム症候群
・ エルサレム県
・ エルサレム神殿
・ エルサレム総主教
・ エルサレム総主教庁
・ エルサレム総主教庁/履歴
・ エルサレム聖書
・ エルサレム解放
・ エルサレム賞
・ エルサレム陥落


Dictionary Lists
翻訳と辞書 辞書検索 [ 開発暫定版 ]
スポンサード リンク

エルサレム症候群 : ウィキペディア日本語版
エルサレム症候群[えるされむしょうこうぐん]

エルサレム症候群 (英:Jerusalem syndrome) とは、エルサレムを訪問することで引き起こされる、宗教を題材とする強迫的思考、妄想、その他の精神病的体験の発症を伴う一連の心理現象を指す。一つの宗教、宗派に特有のものではなく、様々な異なる経歴を持つユダヤ教キリスト教イスラム教信徒に影響を与えている。
最も一般的な例ではないものの、エルサレム症候群の最も有名な症状としては、これまで精神的に安定し、精神病的徴候が何ら見受けられなかった者が、エルサレムに到着後精神病を発症する現象がある。この精神病の特徴は激しい宗教的主題を伴うことで、典型的には数週間経過するか、エルサレムからの離脱することで全快に至る。イタリアフィレンツェスタンダール・シンドロームや、主に日本人に報告されるパリ症候群といった他の現象とは、宗教を焦点とする点で性格を異にする。
バルエル等〔Bar-el Y, Durst R, Katz G, Zislin J, Strauss Z, Knobler HY. (2000) Jerusalem syndrome. ''British Journal of Psychiatry'', 176, 86-90. Full text 〕は、英国精神医学ジャーナルの2000年論文において、過去の精神病歴がない旅行者において発現する特異な症候群について発見し、これを記述したと主張する。しかし、この主張はM. カリアンとE. ウィツタム〔Kalian M, Witztum E. (2000) "Comments on Jerusalem syndrome". ''British Journal of Psychiatry'', 176, 492. Full text 〕〔Kalian M, Witztum E. (1999) "The Jerusalem syndrome—fantasy and reality a survey of accounts from the 19th and 20th centuries." ''Isr. J. Psychiatry Relat Sci.'', 36(4):260-71. Abstract 〕による批判がある。カリアンとウィツタムによれば、提示された症状の根拠となった旅行者のほぼ全員がエルサレム入り以前から精神疾患であったという。更には、エルサレム入りの後に自発的な精神病を呈したとされる僅かな割合の旅行者について、バルエル等はエルサレム入り以前に健康であった証拠を何ら提示していないことも指摘した。エルサレム症候群はDSM IV、DSM 5にはリスト入りせず、参照もされていない。
==歴史==
エルサレム症候群はかつてはヒステリーの一種とみなされ、''fièvre Jerusalemmiene''(エルサレム熱)〔Elon, Amos.''Jerusalem, City of Mirrors''. Little, Brown, 1989, p. 147.〕と称された。1930年代、エルサレムの精神病理学者ハインツ・ヘルマンによって初めて臨床的に言及された〔The Jerusalem Syndrome in Biblical Archaeology 〕。同氏はイスラエルにおける近代精神病理学研究の祖として知られる。これらの症状が特にエルサレムの訪問に限定して生ずるものであるかについては論争がある。というのも、類似の行動はメッカローマといった他の宗教的、歴史的に重要な地域においても観察されてきたからである(スタンダール・シンドローム参照)。エルサレム症候群の症例は、フェリックス・ファブリの旅行記やマージェリー・ケンプの伝記に記述があるのを初めとして、すでに中世には観察されていることが知られる。19世紀にエルサレムを訪れた人々による膨大な文学作品にも言及がある。
バルエル等は、2000年の調査においては、自身がエルサレムにいるという事実に加え、千年紀という宗教的意味が相俟って、例年であれば発症に至らない多数の訪問者に影響が及び、エルサレム症候群の入院患者が激増する可能性を示唆した。2000年、エルサレムへの全体的な旅行者増加によって、旅行者の入院数も微増したものの、危惧されていたエルサレム症候群の流行は現実には起こらなかった。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「エルサレム症候群」の詳細全文を読む



スポンサード リンク
翻訳と辞書 : 翻訳のためのインターネットリソース

Copyright(C) kotoba.ne.jp 1997-2016. All Rights Reserved.