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JUNQとIPOD : ウィキペディア日本語版
JUNQとIPOD
JUNQIPODは、真核生物細胞質に見られるタンパク質封入体である。
パーキンソン病アルツハイマー病ハンチントン病などの疾患は神経変性疾患と総称され、タンパク質凝集やミスフォールドタンパク質の封入体への蓄積を伴う。かつてよりタンパク質の凝集は、ミスフォールドしたタンパク質がお互いに結合して封入体を形成するランダムな過程と考えられてきた。また、タンパク質の凝集体は毒性を持つ物質として、神経細胞の機能障害や細胞死を引き起こすものと考えられてきた。しかし近年、蛍光顕微鏡などの先端技術を用いた研究により、タンパク質凝集という現象は実際には厳密に制御されたプロセスであること、そして細胞は毒性タンパク質を封入体に隔離することで、自らを保護していることが明らかとなった。2008年、ダニエル・カガノヴィッチ は、真核細胞はその巧妙に管理された細胞プロセスにより、ミスフォールドしたタンパク質を(以下に列挙する)2種類の封入体へ仕分けをしていることを示した。
#JUNQ(JUxta Nuclear Quality control compartment、意味:核近傍品質管理コンパートメント)
#IPOD(Insoluble Protein Deposit、意味:不溶性タンパク質保管所)
JUNQとIPODはともに進化的に保存されたコンパートメントであり、特定の細胞内部位に観察される。ミスフォールドし凝集した蛋白質がJUNQやIPODに輸送されるには、無傷の細胞骨格や、熱ショックタンパク質といった特定の細胞品質管理因子が必要となる。タンパク質の輸送先としてJUNQとIPODのどちらが選ばれるかは、ミスフォールドしたタンパク質が細胞内で受けるプロセシングの様式によって決定される(タンパク質がユビキチン化されるかどうか、など)。哺乳類細胞では、有毒なタンパク質凝集体をJUNQ及びIPODへ隔離することで、非対称分裂を通じて細胞の若返りが行われているのである。
従って、JUNQとIPODの発見は、「細胞がミスフォールドし凝集したタンパク質をいかに対処するのか」についての新しい知見をもたらし、また「タンパク質凝集がランダムに進むプロセスではなく、実はよく調節・制御された細胞プロセスである」ことの説得力のある証明を与えた。さらに、JUNQとIPODが発見されたことにより、細胞は品質管理を時間的に行なっているだけでなく(言い換えれば、壊れたタンパク質を時間依存的に除去するだけでなく)、ホメオスタシス機構を空間的に行なっていることも示唆された。つまり、タンパク質分解が行えないような状況に陥った場合、細胞は凝集タンパク質封入体を空間的に隔離することにより、ミスフォールドタンパク質から細胞内環境を保護しているのである。

== 背景 ==
タンパク質が正常に機能するためには、ほとんどの場合、ネイティブ状態と呼ばれる低エネルギー3次元構造を維持していなければならない。タンパク質の安定性は、そのタンパク質の一生に渡って、厳密に調節されている。初めに、タンパク質はリボソームで合成され、その後、フォールディングや集合が起こる。そしてタンパク質は最終的に、細胞内環境により分解・除去される。タンパク質のホメオスタシス(プロテオスタシス)は、細胞内品質管理システムのさまざまな構成要素が(分子シャペロン、プロテアーゼ、その他の調節因子)協調して作動することによって達成される。つまり、細胞の生存可能性は、ミスフォールドタンパク質の「管理」をいかに効率的にタイミングよく行えるかに依存している。この「管理」とは、品質管理機構の一部であるシャペロンやE3リガーゼによるミスフォールドタンパク質の認識、ユビキチン付加、タンパク質分解といったプロセスを含む。
プロテオスタシスの崩れ(傷害、ストレス、変異、老化に起因する)は、神経変性疾患など多発するヒトの疾患の基盤となっていると言われる。これらの疾患は異なるタンパク質の変異(例えばハンチントン病の場合はハンチンチンというタンパク質)や異なる組織の損傷(ハンチントン病の場合は線条体)によって引き起こされるが、いずれの疾患も「封入体にミスフォールドタンパク質が蓄積する」という共通した特徴を持っている。この特徴から、封入体そのものがこれらの疾患の原因となっていると考えられてきた。しかし、このような細胞内に形成される封入体の性質や特徴は不明のままにあった。多くのタンパク質(プリオン、ERADの基質など)は、その種類によって異なる形態の封入体を形成することが報告されたものの(アグリソームやアミロイドなど)、これら観察された封入体がはたして同一の性質のものとして扱ってしまって良いものか、はまたま細胞内で同一の部位に蓄積しているのか、といった問題も未解決であった。さらには封入体の形成を導く経路がどういったものであるのか、そこでは細胞内のタンパク質品質管理機構がいかに関与しているのかについても不明であった。このため、タンパク質凝集や封入体形成を網羅的に理解するための系統的な解析が要請されていた。ここで、JUNQとIPODが発見〔されたことにより、細胞がどのように様々な種類のミスフォールドタンパク質を管理しているのかについて新しい知見がもたらされ、またタンパク質凝集に関する大きな謎を解決するための枠組みが明らかになったのである〔。


抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「JUNQとIPOD」の詳細全文を読む



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