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覆帯 ( リダイレクト:無限軌道 ) : ウィキペディア日本語版
無限軌道[むげんきどう]

無限軌道(むげんきどう)とは、起動輪、転輪、遊動輪(誘導輪)を囲むように一帯に接続された履板(りはん・りばん)・シュー (Shoe) の環であり、起動輪でそれを動かす事によって不整地での車両の移動を可能にするもので、この種の車両を装軌車両 (Tracked Vehicle) と呼び、対して通常のタイヤ車輪を備えた車両を装輪車両 (Wheeled Vehicle, Car etc) と呼ぶ。
== 概要 ==
無限軌道は18世紀後半から19世紀にかけて発案されてきたが、実用的なものは20世紀初頭に重量のかさむ蒸気機関を用いたトラクションエンジンの走行部として開発された。さらに2度の世界大戦戦車などの軍用装軌車両の実用化と主流化を経て発達した技術である。他にも不整地走破能力を要求される農業機械建設機械雪上車などで用いられている。日本語の「無限軌道」の言葉の意味は、軌道(電車に例えるなら、レール)を転輪に巻きつけることで、無限に状態のよいレール上を走ることができる機構という意味である。
無限軌道には、クローラー (Crawler)、トラックベルト (Trackbelt)、履帯キャタピラーなど、複数の呼び名がある。一般用途では、無限軌道と呼ばれる。軍事用語では、履帯(りたい)と呼ばれる〔平成21年度調達予定品目(中央調達分) (調達実施計画ベース)-防衛省装備施設本部HP ,
2010-01-28閲覧〕。日本の法令条文(車両制限令道路交通法施行規則等)ではキャタピラの変化したカタピラという用語が用いられている(以前は履帯という用語が用いられていた)。一般によく用いられる「キャタピラー」は米国キャタピラー社 (Caterpillar Inc.) の登録商標である。
工事現場や農地、砂漠などの不整地や雪上などでは、通常の車輪では凹凸に阻まれたり重量で地面にめり込んだりして走行が困難である。対して無限軌道では車輌の重量が履帯全体にかかるために接地面積あたりの圧力(接地圧)が小さくなり、柔らかい地面や雪上でも沈み込みにくくなる。また多少の起伏や穴なども履帯越しに転輪が通るためにスムーズに通行することができる。
方向転換は前輪等の車輪によって操舵するもの、前後に履帯を備えた車体を屈折させて操舵するもの、そしてスキッドステアと呼ばれる方式がある。スキッドステアは車体左右の履帯の回転差により横滑りを起こして進行方向を変えるもので、曲がる側の履帯を完全に停止させる旋回を信地旋回と呼ぶ。もしトランスミッションが対応していれば、履帯を左右逆回転させてその場で旋回する超信地旋回も行える。昔は左右の履帯の回転量をレバーで直接操作して操縦する物が多かったが、近年は自動車ステアリングの様なハンドル操作で操縦が容易になっているものも多い。
履帯の接地長が長いほど接地圧が小さくなり不整地走破能力は増すが、左右の履帯間隔に対して接地長が長すぎると横方向のグリップ力が強すぎて方向転換が困難になるため、両者の比率は1.1~1.8程度に抑えられている。
難点としては履帯を使用した走行装置は重量がかさみ、車輪に比較すると履帯そのものを駆動するために取られるエンジンの負荷が大きい上に、騒音や振動も大きく高速・長距離走行は一般的に困難である。ゴムを用いた特殊な履帯を用いない場合、舗装路では路面を傷める恐れもある。また履帯が一か所でも切断してしまうと走行不能になり、交換修理や整備にも多大な手間を要する。特に軍用車輌では、近年の市街戦対テロ戦争において戦車などの装軌車輌が地雷即席爆発装置(IED)により行動不能になるケースが多い。さらに地形においては起伏の大きい地形に対しては前述の重量に対する履帯のトルクが小さくなるため車輪ほどの走破性は出せず、突破が困難になることもある。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「無限軌道」の詳細全文を読む

英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Continuous track 」があります。




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