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白蟻の巣 : ミニ英和和英辞書
白蟻の巣[しろありのす]
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〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。

: [しろ]
 【名詞】 1. white 
白蟻 : [しろあり]
 【名詞】 1. termite 2. white ant
: [あり]
 【名詞】 1. ant 
: [す]
 【名詞】 1. nest 2. rookery 3. breeding place 4. beehive 5. cobweb 6. den 7. haunt 

白蟻の巣 : ウィキペディア日本語版
白蟻の巣[しろありのす]

白蟻の巣』(しろありのす)は、三島由紀夫戯曲。三島にとって初の3幕物の長編戯曲で、この作品の成功により、三島の劇作家としての地歩が築かれた〔荻久保泰幸「白蟻の巣」()〕〔「四つの河[3]舞台の河」()〕。ブラジルコーヒー農園を経営する夫婦と、その使用人夫婦の間の複雑に絡み合う奇妙な姦通関係のドラマを描いた作品。三島が初の世界一周旅行(詳細は『アポロの杯』参照)でブラジルのリンスを訪れた際に滞在した多羅間俊彦の農園で「白蟻の巣」を見たことが、『白蟻の巣』創作のヒントとなった〔田中美代子「解題――アポロの杯」()〕。
1955年(昭和30年)、文芸雑誌『文藝』9月号に掲載された〔井上隆史「作品目録」()〕。同年10月29日に劇団青年座により俳優座劇場で初上演され、第2回(1955年度)岸田演劇賞を受賞した〔山中剛史「上演作品目録」()〕〔「第三章 問題性の高い作家」()〕。単行本は翌年の1956年(昭和31年)1月25日に新潮社より刊行された〔山中剛史「著書目録――目次」()〕。文庫版は近年まで新潮文庫熱帯樹』に収録されていたが、現在では絶版となっている。
== あらすじ ==
中年の刈屋義郎と妙子の夫婦はブラジルサンパウロ郊外のリンスでコーヒー農園を経営している。夫婦は日本の名門の家柄であったが、戦後財産がなくなり、ブラジル移民の刈屋家の老未亡人の籍に夫婦養子に入り、コーヒー農園を引き継いだのだった。刈屋邸には使用人の運転手・27歳の百島健次とその新妻で20歳の啓子、農園支配人の60歳の大杉安之助、女中・きぬが住み込みで働いていた。百島と刈屋の妻で30歳の妙子は一年前、心中未遂をしていたが、刈屋は寛大な対処で百島をそのまま運転手として使っていた。刈屋は地域の人々や農園の労働者からも、穏やかで寛大な人物として尊敬されていた。使用人とも一緒のテーブルで同じ食事をする「民主的」な園主であった。
百島の新妻・啓子は、夫が刈屋夫人(妙子)と心中未遂事件を起したことを承知で百島と結婚した。しかしある時、夫と同じ首筋の傷を風呂上りの妙子の首にありありと見てから、はっきりと嫉妬に苦しめられはじめる。啓子はいっそのこと、もっとぎりぎりまで行ってしまえば却って気が安まると思い、夫と妙子がもう一度、心中事件を起して刈屋の怒りを買い、この邸から自分たちが追い出されて、夫と妙子が引き離された方がいいと計画をめぐらした。そして、そのことを刈屋に相談するが、刈屋は百島と妻が再び心中を企てる可能性はないと言う。啓子は二人の邪魔をしているのは、刈屋のその寛大さだと言い、旦那様が邸を長期間留守にすれば、何もかも真裸の露わになると言った。刈屋は少し興味を覚え、啓子の提案に乗ることにし、しばらくリオ・デ・ジャネイロまで旅行をすることにした。
生きたのように暮している妙子は、夫の罠だと思い、留守中も刈屋の寛大さの呪縛の中にいた。しかし支配人の大杉から、リオで刈屋に女ができたという噂話を聞き、妙子は百島に接近する。しかし百島はあまり取り合わず、戯れに接吻しただけで何も起こらなかった。啓子は、「こんな小娘みたいな私の目を盗んで、たったそれだけ?」と夫を挑発し口げんかをする。その時、大杉が慌てて、玉蜀黍の倉庫に白蟻の大群が押し寄せてきたと知らせに来て、百島は白蟻退治に飛んでいった。
啓子から至急戻ってくるように電報を受けた刈屋が帰って来た。啓子は、「私が待っていたものが絵空事だったとわかりましたの」と言い、一人でこの邸を出てゆくと言った。刈屋は、そんなことはさせないと啓子をなぐさめ、髪や胸をなではじめた。そして刈屋は、百島と妙子が心中未遂を計った納屋へ啓子を誘い、「二人が死にそこなったあの場所で、われわれの結婚式をあげよう」と言い、二人は納屋へ入っていった。
納屋に入っていった刈屋と啓子を見た大杉は、白蟻退治を終えて啓子を探す百島に、「あなたには見る権利があります、あなたは」と言い、納屋を示すが、百島はそこへは行かずに室内に帰った。大杉は、「どうして行かないんです。そう訊くのも野暮だが。……どうして追って行って、あの人たちを殴り倒すわけにゆかないんです。そう訊くのも野暮ですがね」 と言い、私がいては邪魔だろうと百島を一人にしてやったが、彼は自室のベッドへ帰った。
刈屋と啓子が納屋に行くのを3階の窓から妙子も見ていた。妙子も百島がピストルを持って納屋へ駆け出す姿を期待していた。百島は、私が苦しんだら旦那様の思う壺ですと妙子に言い、自分に旦那様の寛大さが伝染した、人をゆるすことはこんなに楽なことだったのか、そしてこんなに人間を無力にするものなのか、と言い出した。妙子は、そんな考え方をすると刈屋になってしまうと百島に言い、また二人で心中しようと提案した。百島は啓子から先日、「死ねるものならもう一度死んでみろ。死の恐怖を一度味わった人は、二度と自殺なんかできないものだ」と言われたことを思い出し、啓子の鼻を明かしてやろうと、朝早く妙子と自動車で「望みヶ淵」の断崖へ飛び込みに向かった。
啓子は自動車の爆音で目が醒めた。広間の卓上にあった二人の遺書を見て狂乱する啓子に、刈屋は寛大になるんだ、ゆるしてやるんだと諭した。啓子は、あなたは人殺しだ、あなたの寛大さが二人を殺したんだ、あなたは偽善者だと刈屋を罵倒する。しかしそんな啓子に刈屋は、怒っているおまえはブラジルの太陽だ、生きているおまえと心機一転、子供をたくさん作って新しい生きている生活をしようと、啓子に結婚を申し込む。そして、実は妻が以前から何度も別の男と心中未遂し、その都度ゆるしているうちに自分の苦しみが麻痺してしまったことを告げた。啓子は怒りを鎮め、刈屋の話を聞いているうちに、自分が新しい刈屋コーヒー農園の女主人、女王蟻になることを夢見て、朝食のときには、もう刈屋を夫のように、「あなた」と呼んだ。
外から自動車が戻ってくる音がしてきた。啓子は半狂乱になりながら刈屋に、「今度こそゆるしてはいけないわ、『どこへでも行ってしまえ』と言うのよ」と、二人を追い出すように命令した。早く、早くとせき立てられる刈屋は、「とてもそんなことはできそうもない」と、おどおどする。高まる車の音に啓子は、「怖い、怖い、死人たちが生きかえる、白蟻がかえってくる」と怯えた。刈屋は、「とてもそんなことが…」と、つぶやきながら立ちすくむ。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「白蟻の巣」の詳細全文を読む




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