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温泉権 : ミニ英和和英辞書
温泉権[おんせんけん]
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〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。

温泉 : [おんせん]
 【名詞】 1. spa 2. hot spring 3. onsen 
: [けん, ごん]
  1. (n,n-suf) authority 2. the right (to do something) 

温泉権 : ウィキペディア日本語版
温泉権[おんせんけん]

温泉権(おんせんけん)とは、温泉源を利用する権利のこと。土地に存在する温泉の利用権のことをいい、土地の所有権とは別に取引することができる。
== 概要 ==
温泉権は、物権的性質を持つ権利であると慣習で呼ばれている権利であるが、日本は物権法定主義民法175条、民法施行法35条)を採っているため、厳密には債権であって、信義則による保護によって物権的性質を示す。法令に定めのない物権を設定する契約は、物権設定契約としては無効となるが、債権契約としては有効であり、当事者間で効力を有する。また、土地の使用に関する永続的債権が設定されていることを知りつつ、これを第三者が所有権を取得する等の行為により侵害することは、信義則上許されないとされている。大掛かりな配管設備を用いて温泉を使用している場合など、現地を実際に訪れれば温泉の永続的使用権が存在することが予見できる場合には、債権であっても信義則の適用によって結果的に、物権と同様の第三者対抗力が生じるのである。判例は、第三者への対抗は永続的な温泉の使用実態があれば足りるとして、温泉の使用に関する権利が設定当初の時点において、永続的債権として設定されたのか、「物権」と称して設定されたのか、その違いについて立証責任を課してはいない。
もっとも学説は、世界各国の法制度を比較検討し、物権の一般的性質というものを定義した上で、温泉権を「物権」や「慣習上の物権」に分類しており、裁判例においても、慣習上「物権的権利」と称して扱われることが多い(下記参照)。しかし、日本の法体系における形式的分類によるならば、「物権」に分類しないのであれば、「債権」に分類されることになることから、温泉権は「債権」に分類されるものであり、下記裁判例についても、当事者の主張の論理構成をそのまま採用したにすぎないとも理解できる。
なお、物権法定主義は、債権信義則の適用によって物権的性質を帯びることを否定するものではない。「物権」でなければ「債権」になるという日本の法体系については、生活様式の実態に合わない事例があるとして古くから批判も強く、判例では信義則を適用した法益調整が行われているのである。なお、いかなる場合において信義則による法益調整を要するかという判断基準の考え方については、下記のように様々な学説が唱えられている。
* 内田貴『民法I[第2版]』(東京大学出版会)・328頁は、「物権法定主義をとると、早速生じてくるのが、慣習法として存在している物権は全く認められないか、という問題である。」、「判例は、いくつかの物権を慣習法上の物権として認めている。有名なのは、温泉専用権(いわゆる「湯口権」)を認めた大判昭和15年9月18日(民集19-1611)である。」とする。ただし、同書の指摘する大審院判例は、「物權的權利」という表現を用いている。
* 川島武宜・編『注釈民法(7)』(有斐閣)・610頁以下(川島武宜執筆)は、江戸時代までの旧慣としての温泉権と近代法の枠内における温泉権を区別しつつ、第3者へ対抗できるものを「物権」と定義し、信義則による法益調整の判断基準として法例2条の立法趣旨で用いられた考え方を採用することにより、「独立の物権として承認するのは当然」(616頁)、「これを独立した物権として承認することは民法175条に矛盾しない」(620頁)としている。
* 信義則による法益調整の判断基準となる考え方として、(1)民法175条及び民法施行法35条は、社会の現実と遊離した規定であるから、無視すべきであるとする説、(2)民法施行法35条は、民法施行後に発生する慣習法上の物権を否認する趣旨ではないとする説、(3)民法175条にいう「法律」には、慣習法も含むとする説、(4)法例2条に根拠を求める説などがある(水口浩ら『物権法』(青林書院)・10頁)としている。
* 山形地裁昭和43年11月25日判決(判例時報543号70頁)は、「本件温泉利用権の性質」が「物権」か「債権」か、という論点について、物権の性質を例示することで「物権」を定義したうえで、「現行民法の下においても一定の慣行にもとづいて発生し、法的確信を得るに至り、慣習法たる物権としてその存立を認めることは決して法の理想に反するものでないと解する。」と判示し、「法的確信」を信義則による法益調整の判断基準として、性質の面において「物権」となる権利が生じることを示し、法益調整をしている。
* 高松高裁昭和56年12月7日判決(判例時報1044号383頁)は、問題となった温泉旅館の明治以前からの営業実態、近隣住民との関係等を詳細に認定し、権利の性質の面から「物権」を定義し、「泉源地である…の山林の所有権とは別個独立に慣習法上の物権としての温泉権が成立し」たと判示している。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「温泉権」の詳細全文を読む




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