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ジョセフソンコンピュータ : ミニ英和和英辞書
ジョセフソンコンピュータ[ちょうおん]
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〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。

: [ちょうおん]
 (n) long vowel mark (usually only used in katakana)

ジョセフソンコンピュータ : ウィキペディア日本語版
ジョセフソンコンピュータ[ちょうおん]
ジョセフソンコンピュータ(Josephson Computer)は、超伝導ジョセフソン素子を論理素子として構築されたコンピュータである。極低温でしか動作しないため、液体ヘリウム(4.2K)による冷却が必要である。低消費電力、高速という特長を持つが、研究途上の技術であり、実用化はされていない。主に日本とアメリカ合衆国で研究されている。
==概要==
超伝導現象を利用したスイッチング素子としては古くはによるクライオトロンがあるが、ジョセフソン素子を用いたスイッチングは1966年、米IBMのMatisooにより初めて報告された〔J. Matisoo, Appl. Phys. Lett., vol. 9, 166(1966).〕。そのとき測定されたスイッチング時間は、当時としては非常に高速な800 psであった。IBMの開発した回路は、“電圧モード論理回路”と呼ばれ、半導体論理回路と同じく、電圧の有無を論理状態の"0"、"1"に対応させるものであった。その後、IBMはジョセフソン素子をシリコン半導体素子の後に続く高速コンピュータ用素子と位置づけ、論理回路記憶回路の研究開発を本格的に開始した。日本では1970年代から電電公社富士通などが研究を開始していたが、1981年に開始された通産省の大型工業技術研究開発制度「科学技術用高速計算システム」(1981-1989年)のもと、富士通、日立製作所日本電気が参加、スーパーコンピュータ用素子としてのジョセフソンディジタル回路の研究が推進された。
これらのプロジェクトはジョセフソンコンピュータの研究を世界的に促進する大きな力となった。しかしながらその後、
# 合金ジョセフソン接合の特性の熱サイクルによる経時変化
# 接合面積のばらつきに起因する臨界電流値の不均一性と集積規模の制限
# パンチスルーと呼ばれる現象によるクロック周波数の制限
# 半導体素子の進歩によりジョセフソン素子の速度優位性が絶対的なものでなくなってきたこと
# 大電流交流バイアスの供給の困難さ
等の要因により、IBMは1983年にジョセフソンコンピュータの研究を大幅に縮小した。一方、日本では鉛に代わってNb系接合技術を採用することにより特性の経時変化の問題をクリアし、富士通による4ビットマイクロプロセッサの開発〔S. Kotani, T. Imamura and S. Hasuo, IEEE J. Solid-State Circuits, Vol. 25, 117 (1990).〕、電子技術総合研究所によるコンピュータプロトタイプの構築〔H. Nakagawa, I. Kurosawa, M. Aoyagi, S. Kosaka, Y. Hamazaki, Y. Okada and S. Takada, IEEE Trans. Appl. Superconductivity, Vol. 1, 37 (1991).〕といった一定の成果は得られたものの、1995年から1997年にかけて行われた通産省プロジェクト「ジョセフソン素子ハイブリッドシステムの研究開発」を最後として“電圧モード論理回路”の研究は終了された。
この間、東北大学において独自の“位相モード論理回路”が提案・研究されていたが〔K. Nakajima, Y. Onodera and Y. Ogawa, J. Appl. Phys., Vol. 47, 1620 (1976).〕、大きな広がりは持たなかった。位相モード論理回路は磁束の有無を論理状態の"0"、"1"に対応させる回路であり、半導体論理回路とは根本的に動作原理の異なるものである。1985年にモスクワ大学のLikharevは独自に位相モード論理回路を再構築した、“単一磁束量子(Single Flux Quantum、SFQあるいはRSFQ)回路”と呼ばれる一連の論理回路方式を提案・実証した。RSFQ回路は電圧モード論理回路と比べて1桁の高速化と3桁の低消費電力化が可能であり、ブレークスルーとして注目を集めた〔K. K. Likharev and V. K. Semenov, IEEE Trans. Appl. Superconductivity, Vol. 1, 3 (1991).〕。米国では、ニューヨーク州立大学に移籍したLikharevを中心としてTRW、Northrop Grumman、HYPRES、カリフォルニア大学バークレー校等での研究開発が盛んになった。特にHTMTと呼ばれるペタフロップスコンピュータ開発プロジェクトの中核的な技術として採用されている。日本では1997年から科学技術庁科学技術振興調整費「単一磁束量子を担体とした極限情報処理機能の研究」の下、超電導工学研究所産業技術総合研究所、富士通、日立製作所、日本電気、東北大学、東京大学横浜国立大学名古屋大学日本女子大学等でRSFQ回路の研究が開始された。
すでにRSFQ回路の研究が活発化してから15年を経るが、その実用化については楽観できる状況ではない。この間、8ビットマイクロプロセッサの18 GHz動作の実証 〔A. Fujimaki, M. Tanaka, T. Kondo, T. Kawamoto, Y. Yamanashi, N. Nakajima, A. Akimoto, N. Yoshikawa, H. Terai, S. Yorozu and Y. Hashimoto, Extended Abstracts of the 2004 International conference on SSDM, 140 (2004).〕など、着実な成果は上がってきた。しかしながら半導体素子でも超並列によるペタフロップスコンピュータの実現が視野に入ってきた現状からすれば、性能的な差別化が容易ではなくなってきたのも事実である。
ジョセフソンコンピュータに期待されるもうひとつの分野は、量子コンピュータである。現在、ジョセフソン接合を用いた固体キュービットの提案と実証が進みつつある。キュービットのコヒーレンス時間を縮める要因として外界との接触によるデコヒーレンスが挙げられるが、極低温のRSFQ回路を外界とのインターフェイスに用い、コヒーレンス時間を改善する提案もなされている。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「ジョセフソンコンピュータ」の詳細全文を読む




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