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アゾベンゼン : ミニ英和和英辞書
アゾベンゼン
azobenzene
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アゾベンゼン : ウィキペディア日本語版
アゾベンゼン

アゾベンゼン (azobenzene) は、有機化合物の一種で、2個のベンゼン環が -N=N- 二重結合(アゾ基)でつながった構造 (C6H5-N=N-C6H5) を持っている。また、そのような構造を中心に持ち、ベンゼン環上にさまざまな官能基を持つ誘導体の化合物群の総称として「アゾベンゼン」(単に「アゾ」とも)と呼ぶこともある。アゾベンゼンは、ジアゼン (diazene、H-N=N-H) の2個の水素をそれぞれフェニル基に置き換えたものと見なすこともでき、IUPAC系統名ジフェニルアゼンと表される。
アゾベンゼンあるいはその誘導体は、紫外可視領域の光を強く吸収するため、歴史的には色素(アゾ色素)としてさまざまな産業で用いられてきた。また、もっとも興味深いアゾベンゼンの性質の一つは光異性化である。アゾ化合物にはアルケンと同様にシストランス配座異性体が存在するが、その2種類の異性体の比を、ある波長の光を照射することで制御することができる。アゾベンゼンのトランス体からシス体へと異性化させる紫外光は、π-π
*
遷移
(S0—S2) のエネルギーギャップに対応している。そして逆にシス体からトランス体に異性化させる青色光は、n-π
*
遷移 (S0—S1) に対応している。
さまざまな理由で、シス体はトランス体よりも不安定である。例えば、シス体は2つのベンゼン環同士の立体反発により歪んだ構造をしており、共役による安定化が弱まっている。光異性化反応において、トランス体は約 50 kJ/mol 程度シス体よりも安定で、間のエネルギー障壁は 200 kJ/mol 程度である。また、シス体は熱的反応によっても安定なトランス体にへと変わる(熱異性化)。
アゾベンゼンをポリマーマトリクス中に含ませて安定化させることができる。また、その棒状の構造から、液晶メソゲン基 (mesogen) として利用される。
== 分光学的分類 ==
アゾベンゼンやその誘導体が光異性化のために吸収する光の波長は個々の構造に応じて異なっているが、概ね3つの型に分類することができる。それらは、アゾベンゼン型、アミノアゾベンゼン型、擬スチルベン (pseudo-stilbene) 型で、それぞれ吸収光の違いにより黄色、橙色、赤色を示す。無置換のアゾベンゼンなど、アゾベンゼン型分子は、可視領域の弱い n-π
*
吸収と紫外領域の強い π-π
*
吸収を示す。ベンゼン環のオルト位、またはパラ位にアミノ基などの電子供与基を持つアミノベンゼン型分子では、n-π
*
吸収に近い可視領域の波長に π-π
*
吸収帯があらわれる。擬スチルベン型分子では、片側のベンゼン環のパラ位に電子供与基が、もう一方の環のパラ位に電子求引基が置換している。この "push-pull" 型の構造は電子配置を非対称化させ、その結果としてトランス体とシス体の吸収帯が重なってしまう。つまり、その吸収帯にあたる光の照射下では、擬スチルベン型分子は2種類の異性体の間を絶えず行ったり来たりする平衡状態となる。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「アゾベンゼン」の詳細全文を読む




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