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王子の幇間 : ウィキペディア日本語版
王子の幇間[おうじのたいこ]
王子の幇間(おうじのたいこ)は古典落語の演目の一つ。
明治の大看板、初代三遊亭圓遊の創作落語で、主な演者には8代目桂文楽などがいる。
== あらすじ ==
王子に関する武勇伝から、「王子の幇間」の異名を持つ幇間・平助。
呼ばれもしないのに花柳界はもちろん、芝居や寄席の楽屋にまで出入りして、かなり顔が売れている。
特に、神田の佐々木という旦那の家には、三日にあげず物欲しそうにやってくるためご主人はもちろん、使用人一同にいたるまで大迷惑していた。
お内儀(かみ)さんも腹を立て、『平助入るべからず』という魔除けの札を門口に張ったが、いっこうに効果がない。
かえってその札を回収され、「ちり紙交換に出します」と喜ばれる始末だ。
その日も、昼過ぎに平助がやってきた。
閉口する主人に、お内儀さんは『旦那が留守だと言ってあいつを油断させ、さんざん悪口を言わせてから、当人がぬっと現れて、こっぴどく痛めつけよう』とアドバイスをした。
主人が隠れたところで、早速平助が店の奥に乗り込んでくる。
出入りの鳶頭を捕まえ、「洲崎の女郎屋で、女郎相手に三味線を弾いていましたね」と言っていきなり頭をポカポカ殴られた。
懲りずに権助に声をかけ、「地元で女狂いをしていた」と暴露して『悪魔野郎、終身懲役ヅラめ』と罵られてまたポカポカ。
やっとこさ、お内儀さんのところに到着すると、「今日は陽気に、店先でポカポカいい音がしたね」と嫌味を言われてしまう。
「どうも様子が変だと思ったら、さては旦那に頼まれて様子を探りにきたね? お前さん、間諜(スパイ)だろう?」
「間諜? 誤解ですよ、冤罪だぁ。そりゃ確かにね、幇間は旦那の指令で動きますが…あ、饅頭があった。奥様の前ですが…モグモグ…幇間なんて、長いことやっていると…モグモグ…ろくなことはありませんよねぇ。あ、お茶もある。こうやって攻められると、なんか幇間止めたくなっちゃった…ズズーッ」
「それは私のお茶と饅頭だよ!」
「これは失礼」
「だいたいね、隠しても分かるんだよ。旦那はどこだい? 日本橋かい、河岸かい、八丁堀かい?」
「マァマァ落ち着いて。実は、今回は大切なお話があって伺ったんです」
実は、旦那が外神田の芸者に入れ揚げ、お内儀さんを追い出そうと算段中…とある事無いことペラペラ喋る。
その上、件の武勇伝を披露して旦那の横暴さをアピールしたため、すっかり同情した(もちろん嘘)お内儀さんは、
「そうかい。そんな不実な人とは知らなかった。もう愛想が尽きたから、おまえ、私と逃げておくれでないか」
と駆け落ちの約束をしてしまう。
『瓢箪から駒』だと大喜びの平助。
「このツヅラの中にはダイヤモンドに株券、珊瑚珠の五分珠、金ののべ棒が入っているから背負っとくれ」とお内儀さんに言われるままに山のような荷物を担ぎ、手がふさがったところでお内儀さんが頭をポカリ。
それを合図に、奥からだんなが登場!
「だ、旦那…!!」
「この野郎、オレが家にいねえと思って、飛んでもねえことをペラペラと。岡惚れしているのは手前じゃねぇか」
「これはどうも相済みません…」
「何が済みませんだ。そのツヅラにはな、七輪が四つも入っているんだ。そんな物を持って、いったいどこへ行こうてんだ」
「へえ、ご近所が火事で手伝いに」
「馬鹿野郎。火事なんざどこにある」
「今度あるまで、背負っております」

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「王子の幇間」の詳細全文を読む



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