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Y-DNA ( リダイレクト:Y染色体 ) : ウィキペディア日本語版
Y染色体[わいせんしょくたい]
Y染色体(Yせんしょくたい、英語:Y chromosome)は性染色体の一つ。正常な個体ではX染色体と同時に存在し、正常な個体には存在しない性染色体をY染色体という。
X染色体とY染色体が同時に関与する性決定様式を、雄がX染色体とY染色体との組を持つヘテロ型であるため、雄ヘテロ型、さらに限定してXY型と呼ぶ。雄ヘテロ型性決定にはY染色体が関与しないXO型もあり、他に雌ヘテロ型の性染色体・性決定様式(ZW型・ZO型)も存在する。
== 概論 ==
Y染色体は、ネッティー・マリア・スティーヴンスミールワームコメノゴミムシダマシ, ''Tenebrio''の幼虫)において発見し、1905年に報告した。Y染色体は、定義上、植物を含むXY型性決定をする全ての生物に存在する。また、カモノハシのように一組となって行動する複数のY染色体を持つ生物も存在する。
哺乳類および被子植物ヒロハノマンテマでは、Y染色体上にある雄性化因子(哺乳類では''SRY''遺伝子)によって、Y染色体を持つ個体は雄へと分化する。しかしながら、Y染色体の存在がすなわち雄性への分化を意味するとは限らない。ショウジョウバエおよびスイバもXY型性決定を行うが、これらの種ではY染色体は性決定に関与せず、X染色体の数と常染色体のセット比率(X/A)が 0.5以下で雄、1.0以上で雌へと分化する〔 東京農工大学農学部蚕学研究室『性決定』
〕〔小野知夫「高等植物の性決定と分化」(『最近の生物学』第4巻) 〕。
Y染色体とX染色体は、一対の祖先型常染色体に性決定に関する遺伝子が成立したことによって、異なる性染色体に分化したと考えられている〔諸橋憲一郎ほか(2006年)「性を決めるカラクリ『X・Y染色体』」『Newton』2006年2月号、106ページには「Y染色体はX染色体から進化した」との見出しがあるが不正確である。性染色体としてX染色体のみ持つ生物は、全個体がXX個体またはXO個体となるが、XO型生物からXY型生物が進化したとする報告はない。64-66ページの説明文は常染色体からの性染色体の進化が起こったことを説明する文章となっている。当該106ページの説明も研究者の談話はX染色体からY染色体ができたとは述べておらず、編集者による地の文章で不正確な記述となっている。〕。X染色体は、雌においてはホモ型となり、相同染色体の間での組換え〔(遺伝的)組換え - 遺伝子の組合せが入れ替わること。同じ現象を染色体の間の可視現象として捉えると染色体の乗換え(染色体交差)となる。〕を起こすことができるため、突然変異などの影響を比較的に受けにくく、遺伝情報を維持しやすい。これに対して、Y染色体は正常な個体では雄に1本単独で存在するため、突然変異などで遺伝情報を失い、形態的にも小型化する傾向がある〔〔デイヴィッド・ベインブリッジ『X染色体:男と女を決めるもの』83-92ページ。〕。しかしながら、その小型化については生物種によって差があり、植物ではX染色体よりも大きなY染色体も観察されている(写真例 )。哺乳類のネズミの一部には、Y染色体の遺伝情報消失の極端な形としてY染色体自体を失ってしまった種も存在する。このような種はSRYも同時に失われているが、雌雄の性別は保たれており、Y染色体とSRYに依存しない新たな性別の決定方法が生じているものと考えられている〔黒岩麻里「Y染色体を失った哺乳類,トゲネズミ」『生物の科学 遺伝』2009年1月号〕〔『X染色体:男と女を決めるもの』80-83ページ。〕。
哺乳類のY染色体とX染色体にある相同性が残されている領域は、擬似常染色体領域(PAR, pseudoautosomal region)と呼ばれており、この領域でのX染色体とY染色体の組換えも起きることが知られている。PAR以外のY染色体部分は、MSY (male specific region of Y chromosome) と呼ばれる反復配列を多く含む領域である。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「Y染色体」の詳細全文を読む

英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Y chromosome 」があります。




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