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長期増強 : ミニ英和和英辞書
長期増強[ちょうきぞうきょう]
long-term potentiation
===========================
: [おさ]
 【名詞】 1. chief 2. head 
長期 : [ちょうき]
  1. (n-adv,n-t) long time period 
: [き]
  1. (n,n-suf) period 2. time
: [ぞう]
 (n) increase
増強 : [ぞうきょう]
  1. (n,vs) augment 2. reinforce 3. increase 
: [きょう]
  1. (n-suf) a little over 2. a little more than
長期増強 : ウィキペディア日本語版
長期増強[ちょうきぞうきょう]

神経科学の分野において、長期増強(ちょうきぞうきょう、: LTP : Long-term potentiation)とは、神経細胞を同時刺激することにより 2 つの神経細胞間の信号伝達が持続的に向上する現象のことである。神経細胞はシナプス結合を介して信号伝達しており、記憶はこのシナプスに貯えられていると信じられているので、長期増強は学習記憶の根底にある主要な細胞学的メカニズムの1つであると広く考えられている〔。
長期増強と長期記憶には多くの共通点が存在するため、長期増強は学習の細胞学的メカニズムの有力な候補となっている。例えば、長期増強と長期記憶はともに、急速に開始され、新しいタンパク質の生合成に依存していて、連合性をもち、何か月もの持続が可能である〔。長期増強は、すべての動物に見られる比較的単純な古典的条件づけから、ヒトに見られるより複雑な高次の認知までの、様々な種類の学習を説明する現象である可能性がある〔。
シナプス伝達強度を増加させることで、長期増強はシナプス前細胞とシナプス後細胞がシナプスを介して信号伝達する能力を向上させる。長期増強は脳の領域やその動物の年齢、種類などにより異なる複数のメカニズムで成り立っていることなどにより、その正確なメカニズムは完全に分かっているわけではない。現在最もよく分かっている長期増強の形式は、シナプス前細胞から受け取られるシグナルに対するシナプス後細胞の感受性の増加によって、信号伝達が向上するものである〔。このシグナルは神経伝達物質の形で、シナプス後細胞の膜表面にある神経伝達物質受容体に受け取られる。長期増強は多くの場合、シナプス後細胞の表面に既に存在する受容体の活動性を増加させるか、受容体の数を増加させることにより、シナプス後細胞の応答性を増加させる〔。
長期増強は 1966 年に初めてテリエ・レモ (Terje Lomo) によりウサギの 海馬 (脳)で発見され、それ以降多くの研究の対象となった。現在の長期増強の研究の大部分はこの現象の基礎生物学的理解に関するものだが、長期増強と行動学的学習の因果関係に関するものも存在する。さらに他にも、学習と記憶を向上させるために長期増強を強化するような薬理学的手法などの開発も行われている。また、長期増強は臨床研究の対象にもなっている。例えば、アルツハイマー型認知症薬物依存に関する研究がそれにあたる。
==歴史==

===学習の初期理論===

19 世紀の終わりに、科学者の間では成人の脳にある (約 1000 億の)脳細胞の数が年齢に従って大きく増えることはないことが一般的に知られており、記憶は新しい神経細胞が生まれることにより生じるわけではないと考えられていた。このことから、新しい神経細胞の形成を仮定することなしに記憶の形成を説明する理論が求められていた。
スペイン人の神経解剖学者のサンティアゴ・ラモン・イ・カハールは、新しい神経細胞の形成を仮定せずに学習のメカニズムを提唱した最初の人物である。1894 年のクルーニアン講義において彼は、既に存在する神経細胞間の信号伝達効率が向上することにより、神経細胞の結合が強化されることで記憶が生じると提唱した〔。ドナルド・ヘッブにより 1949 年に提唱されたヘッブの法則はカハールのアイディアに応えるものであり、神経細胞は新たな結合の形成や代謝の変化などにより、その信号伝達能力が向上するとした。
これらの記憶形成の理論は現在では確立しているものの、当時は注目されることは少なかった。19 世紀後半から 20 世紀前半の神経科学者と心理学者間で、動物の学習の生物学的基盤を解明するのに必要な電気生理学手法がまだ確立していなかったためである。このような手法は 20 世紀後半に成立し、ちょうどその時期に長期増強も発見されたのであった。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「長期増強」の詳細全文を読む




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