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キリスト教と他宗教との関係 : ミニ英和和英辞書
キリスト教と他宗教との関係[きりすときょうとたしゅうきょうとのかんけい]
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〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。

キリスト教 : [きりすときょう]
 【名詞】 1. Christianity 
: [ほか]
 (n-adv,n) other (esp. places and things)
他宗 : [たしゅう]
 (n) another sect
: [そう, しゅう]
 【名詞】 1. sect 
宗教 : [しゅうきょう]
 【名詞】 1. religion 
: [せき, ぜき]
 (suf) honorific added to names of makuuchi and juryo division sumo wrestlers
関係 : [かんけい]
  1. (n,vs) relation 2. connection 
: [かかり]
 【名詞】 1. official 2. duty 3. person in charge 

キリスト教と他宗教との関係 : ウィキペディア日本語版
キリスト教と他宗教との関係[きりすときょうとたしゅうきょうとのかんけい]

本項ではキリスト教と他宗教の関係について扱う。

== ユダヤ教・イスラム教との関係 ==
キリスト教、ユダヤ教イスラム教イスラーム)は類縁関係を強調されることがある。唯一神信仰を持ち、聖典の一部を共有しているからである。
キリスト教はユダヤ教の一宗派として誕生している。『福音書』や『使徒言行録』に描かれているとおり、ナザレのイエス自身もその弟子達も皆がユダヤ人でユダヤ教徒であり、エルサレム神殿で礼拝を行い、その宣教活動も主にユダヤ人を対象としたものだった。当時のユダヤ教には多くの立場が存在し、神殿祭儀を中心にしていたサドカイ派、禁欲主義のエッセネ派、在俗の律法主義を担ったパリサイ派などが活動しており〔加藤隆『「新約聖書」の誕生』講談社〈講談社選書メチエ〉、1999年、ISBN 9784062581639、25-33頁〕、イエスの信奉者達の集団もそうした一宗派と見なされた。今日、彼らはパリサイ派のヒレル学派と似た立場にあったと考えられているが、それはキリスト教の特徴とされる博愛と慈愛の強調や、ナザレのイエスが示した律法の尊重はヒレル学派の特徴でもあったからである〔カレン・アームストロング『神の歴史 ユダヤ・キリスト・イスラーム教全史』高尾利数訳、柏書房、1995年、ISBN 9784760111466、115頁〕〔田川建三『イエスという男』第2版増補改訂版、作品社、2004年、ISBN 9784878936814、36頁以降〕。とはいえ、イエスの死後のかなり早い時期にステファノがエルサレムで論争の末に殺害されたことなど〔『使徒言行録』6章8節-7章60節〕、ユダヤ教主流派とイエス信奉者たちとの軋轢は存在した。正統的なユダヤ教の教義からは、ナザレのイエスという男が神の子であったというイエス信奉者たちの見解は容認しがたいものだったのである。
1世紀頃のローマ帝国内におけるユダヤ人は、全人口の1割程度を占めていたという推定があるほどに、ユダヤ属州外でもユダヤ人は勢力を誇っていた。そして、ユダヤ教の信仰生活に興味を示してユダヤ教に改宗する異邦人も多かっただろうとされている〔加藤隆『「新約聖書」の誕生』講談社〈講談社選書メチエ〉、1999年、ISBN 9784062581639、43頁〕。しかし、こうした異邦人への宣教活動はキリスト教で盛んとなり、ユダヤ教をはるかに上回る異邦人改宗者をキリスト教は獲得することになる〔田川建三『キリスト教思想への招待』勁草書房、2004年、ISBN 9784326153756、45頁〕。『使徒言行録』に記されたように、キリスト教は改宗者への割礼を強制しなくなり、厳しい食物規制も緩め〔『使徒言行録』11、15章〕、それがギリシャ語圏の人間も改宗しやすくさせたものと考えられている〔「(使異邦人に対する食物規定を緩めた)エルサレムでの会合は、異邦人に対するキリスト教伝道の驚くべき成功を確かなものにしたのである」(ミルチア・エリアーデ『世界宗教史』第2巻、荒木美智雄・奥山倫明訳、筑摩書房、1991年、370頁より引用)〕。
そしてユダヤ教は神殿崩壊後の1世紀末にヨハナン・ベン・ザッカイの指導の下、神殿中心の体制を放棄して各地のシナゴーグを中心としたコミュニティに重きを置く体制に移行し〔ミルチア・エリアーデ『世界宗教史』第3巻、荒木美智雄・奥山倫明訳、筑摩書房、1991年、184-185頁〕、世界宗教への指向を放棄して民族主義宗教の中に戻っていった〔ミルチア・エリアーデ『世界宗教史』第2巻、荒木美智雄・奥山倫明訳、筑摩書房、1991年、291-292頁〕〔加藤隆『「新約聖書」の誕生』講談社〈講談社選書メチエ〉、1999年、ISBN 9784062581639、149頁〕。こうしたユダヤ教再編の中で80年代にはキリスト教はユダヤ教から正式に閉め出され〔高尾利数『キリスト教を知る事典』東京堂出版、1996年、ISBN 9784490104356、46頁〕〔もっともユダヤ戦争以前から、パウロはエーゲ海や小アジアでユダヤ人コミュニティーから独立したキリスト教信者のための教会を設立している。エティエンヌ・トロクメ『聖パウロ』白水社、文庫クセジュ1881、2004年、ISBN 9784560508817を参照のこと。〕、またキリスト教側もユダヤ人からの入信者が激減して異邦人入信者が多数を占めることで、ユダヤ教から離脱していくのである〔加藤隆『「新約聖書」の誕生』講談社〈講談社選書メチエ〉、1999年、ISBN 9784062581639、177頁〕。また、ヘレニズム思想と最終的に折り合うことができなかったユダヤ教とは異なり、キリスト教はそれに成功してローマ・ヘレニズム文化の中で独自の思想を発展させた〔カレン・アームストロング『神の歴史 ユダヤ・キリスト・イスラーム教全史』高尾利数訳、柏書房、1995年、ISBN 9784760111466、「ひとりの神」、「異邦人への光」、「三位一体 キリスト教の神」〕。ユダヤ教の聖典はそのままキリスト教にも用いられて『旧約聖書』となり、ユダヤ教の典礼や習慣の多くがそのままキリスト教に引き継がれたが、キリスト教の教父たちはユダヤ人たちがキリストを十字架刑に追いやったとしてユダヤ人を厳しく糾弾し、これがキリスト教社会におけるユダヤ人差別を準備することになる〔秦剛平『反ユダヤ主義を美術で読む』青土社、2008年、ISBN 978-4-7917-6393-1、第3講から5講までを参照〕。
イスラームはユダヤ教やキリスト教の影響を受けて成立した。イスラームはこの2つの先行宗教を共通の始祖アブラハムを戴くアブラハムの宗教であり、信徒は唯一神から啓示を受けて聖典を授かった啓典の民であるとして、根本的にはイスラームと異ならないものとしていた。イスラームによれば、モーセなどの旧約の預言者も、イエスもアッラーフの預言者なのである〔アラビア語圏ではアッラーフは語源的にアル・イラーフ(アル=定冠詞、イラーフ=神、)に由来し、唯一神(英語でいう )を指す。従って、アラビア語ではユダヤ教の神もキリスト教の父なる神もアッラーフである。〕。そして、アッラーフはユダヤ人やキリスト教徒に対してそれぞれに『聖書』を与え、アラビア人には『クルアーン』が与えられたのだとしている〔ただし、ムハンマドが最後で最大の預言者であり、クルアーンが最後の啓典である。〕。
しかし、ムハンマドが口述する『クルアーン』にはユダヤ教とキリスト教に関する誤解が多く含まれており、メディナのユダヤ教徒はこれを嘲笑したという〔カレン・アームストロング『神の歴史 ユダヤ・キリスト・イスラーム教全史』高尾利数訳、柏書房、1995年、ISBN 9784760111466、214頁〕〔井筒俊彦『イスラーム生誕』人文書院、1979年、103頁〕。政治的にもユダヤ教とイスラームは対立するようになり、624年にはそれまでエルサレムに向かって行っていた礼拝(キブラ)がメッカに向かって行われ始め、ユダヤ教から独立した宗教を形成していくことになる〔ミルチア・エリアーデ『世界宗教史』第3巻、荒木美智雄・奥山倫明訳、筑摩書房、1991年、90-91頁〕〔井筒俊彦『イスラーム生誕』人文書院、1979年、105-107頁〕。続いて、イスラームはキリスト教とも対立関係に入り、それ以降に口述された『クルアーン』にはユダヤ教とキリスト教に対する罵倒が頻繁に登場するようになる〔井筒俊彦『イスラーム生誕』人文書院、1979年、107-109頁〕。
この後の長い歴史の中でキリスト教やイスラームはユダヤ教を差別し、キリスト教とイスラームも激しい敵対を繰り返した。現代の政治や社会問題にも、これらの宗教間対立は暗い影を落としている。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「キリスト教と他宗教との関係」の詳細全文を読む




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